サウジアラビアが投資イベントを東京で開催、高市首相は対日投資を呼びかけ

(サウジアラビア、日本)

企画部企画課

2025年12月03日

サウジアラビアの公的投資基金(PIF)傘下の未来投資イニシアチブインスティテュート(FII)は、11月30日~12月1日に投資イベント「FII Priority Asia Summit」を東京で開催した。PIFは同国の国家目標「サウジ・ビジョン2030」の目標達成を担っており、同イベントのアジアでの開催は初。日本からは高市早苗首相、片山さつき財務相兼金融相、赤澤亮正経済産業相、小池百合子東京都知事らが出席し、注目の高さが示された。

冒頭小池知事は、10月末にサウジアラビアのリヤドで開催された第9回FII本会合(2025年11月10日記事参照)に続き、東京でアジア会合が開催されることを歓迎。東京都がイノベーション創出支援事業に力を入れており、テクノロジーイベント「SusHi Tech Tokyo」には5万7,000人が参加したと紹介した。また、都市の強靭化に向けた取り組みの一環として、世界初のレジリエンス債を発行することを紹介した。

片山財務相兼金融相は、コーポレートガバナンス改革による投資市場活性化を通じて、貯蓄から投資への移行が着実に進んでいると言及。アジアの金融センターである東京、シンガポール、香港と、中東の金融センターのリヤドとドバイを接続したいと述べた。

赤澤経済産業相は、2017年に「日・サウジ・ビジョン2030PDFファイル(850KB)」が締結されてから、これまで300以上の経済協力に関する覚書が締結されたことを紹介。NEOMやキディヤ(Qiddiya)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます など大型都市開発、2030年リヤド万博外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや2034年FIFAワールドカップ2034など、大型イベントに向けた金融面での関係強化の重要性に言及した。

ヤシル・オスマン・アール・ルマイヤンPIF総裁は、アジアはイノベーションの発生地であるとした上で、日本企業とサウジアラビアの接続に期待を寄せた。日本からの投資を期待する分野としては、観光・エンタメ、都市開発、工業・物流、クリーンエネルギー・インフラ、NEOMを挙げた。AIデータセンター需要で電力消費が急増すると言われる中、サウジアラビアは太陽光発電コストが世界で最も安価であると述べた。

ルマイヤン総裁は国営石油会社サウジアラムコ(以下アラムコ)の会長も務めている。PIFが出資する鉱業会社マーデン(Maaden)は、原油・ガス採掘経験が豊富なアラムコとの連携とAIの活用で、重要鉱物やレアアースの採掘時間を大きく削減できる可能性があると語った。

高市首相は、「危機管理投資」が成長戦略の要点であると述べた。AI、半導体、量子、造船など17の重点投資分野に対する官民の積極投資を促すため、規制改革に加え、複数年にわたる予算措置で民間企業、外国投資家の予見可能性を高めると説明。「日本は戻ってきた。日本に投資を」と締めくくった。

写真 ルマイヤンPIF総裁の講演(ジェトロ撮影)

ルマイヤンPIF総裁の講演(ジェトロ撮影)

写真 高市首相の講演(ジェトロ撮影)

高市首相の講演(ジェトロ撮影)

(福山豊和)

(サウジアラビア、日本)

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