テスラ、世界最大規模の充電ステーションをカリフォルニア州でフル稼働
(米国)
ニューヨーク発
2025年12月09日
米国の電気自動車(EV)メーカーのテスラは11月25日、カリフォルニア州ロストヒルズに建設した、同社世界最大規模の充電ステーションが全面稼働を開始したとX(旧Twitter)で発表した。
同ステーションには、テスラの急速直流充電器「スーパーチャージャー」164基を設置。併設された11メガワット(MW)の発電容量をもつ太陽光パネルが電力を供給する。パネルは産業用蓄電池システム「テスラメガパック」10台にも接続されており、合計39MWh(メガワット時)が蓄電できる仕組みだ。テスラのマックス・デ・ゼガー充電担当ディレクターによると、米国では送電網の接続工事に数カ月から数年かかるケースがあり、充電ステーション設置の障害になっているが、今回、太陽光と蓄電池を電力源とすることで、設置期間が短縮できたという(X、インサイドEV、11月25日)。
そのほか、最近では、ゼネラルモーターズ(GM)やトヨタを含む大手自動車メーカー8社による合弁会社で、充電ネットワーク事業を展開するイオンナ(IONNA、本社:ノースカロライナ州ダーラム)が11月20日、今後3年間で2億5,000万ドル規模の充電ステーションへの投資を行うと発表
した(2025年2月14日記事参照)。同社は現在、カリフォルニア州の主要都市を中心に、稼働済みを含め合計1,100基を建設中だ(注1)。
米エネルギー省と運輸省が設置した交通インフラを所管する「エネルギーおよび交通共同事務局
(注2)」によると、全米の稼働EV用充電器数(注3)は、2025年10月時点に前年同月比で22.2%増の23万基を超え、11月には同21.7%増の23万4,550基となった(添付資料図参照)。特に需要が高い急速直流充電器は、10月に3.8%増、11月も33.3%増と伸びが大きく、ほぼ毎月3割以上のペースで増加している。さらに、一時期不安視されていた充電器の不具合率も減少傾向にあり、米国内のEV充電環境は一定の改善がみられる(2023年5月25日記事参照)。一方で、AP通信社などの世論調査によると、航続距離や充電時間の長さなどの充電器に対する懸念は依然としてEV購入を妨げる主要因で、今後の充電インフラ整備プロジェクトの展開には注目が集まる。
(注1)同社ステーションでは、テスラが開発した充電器のコネクター規格である「北米充電標準規格(NACS)
のほか、従来の急速コンバインド充電システム(CCS)の利用が可能。
(注2)Joint office of Energy and Transportation。
(注3)レベル2と急速直流充電器の合計。
(大原典子)
(米国)
ビジネス短信 9308300258e79fec




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