フランス中銀、2026年の実質GDP成長率を1.0%と予測
(フランス)
パリ発
2025年12月24日
フランス銀行(中央銀行)は12月19日、最新のマクロ経済予測を発表した(添付資料表参照)。2026年の実質GDP成長率は前年比1.0%と、2025年の0.9%(注)から小幅なプラスとなる見通しだ。2025年は輸送機器(航空機)の生産が牽引し、上半期には下半期の輸出増を見越した在庫拡充の動きが進んだ。2026年以降は、家計最終消費支出(個人消費)と民間投資の回復に支えられ、2027年は1.0%、2028年には1.1%と緩やかな成長が続くと予測している。
家計最終消費支出は2025年に前年比0.4%増と2024年の1.0%増から鈍化した後、2026年は民間企業の実質賃金上昇を背景に0.8%増へ回復する見込み。住宅投資はローン金利の低下と中古住宅価格の安定を受け、2025年に0.3%増、2026年には1.7%増となる見込みだ。
民間設備投資は2025年に情報通信分野を中心に増加。2026年は財政・税制の不透明感で上半期は慎重姿勢が続くが、年後半には需要回復とデジタル化、エネルギー転換での構造的な投資や防衛分野での追加支出が押し上げ要因となる見込み。通年では前年比1.2%増と前年の0.1%増から大幅に伸びると予想される。
外需(純輸出)は、輸出が3.4%増、輸入が2.5%増で、輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、寄与度は0.3ポイントと小幅ながらプラスになる見込みだ。
インフレ率は、2025年に電力規制料金や原油価格の低下を受け0.9%と前年の2.3%から低下した後、2026年はエネルギー価格の下げ止まりとサービス価格の上昇で1.2%に上昇する。失業率は2026年に7.8%と2025年の7.6%からわずかに上昇するが、2027年以降は低下し、2028年には7.4%となる。
フランス銀行は、今後のリスク要因として、米国の通商政策や人工知能(AI)関連米国企業の株価調整リスクが欧州市場に波及する懸念を指摘。一方、世界経済の底堅さやAIの効果が予想以上に早期に顕在化すれば、国内の経済活動を下支えする可能性があると分析している。国内では政治・財政面での不透明感が高く、企業や家計の信頼感を損ない、消費・投資回復を遅らせるリスクがあるとした(2025年12月19日記事参照)。
(注)12月の月次統計を踏まえた最新数値のため、添付表の数値とは一致しない。
(山崎あき)
(フランス)
ビジネス短信 899360e73597eb9a




閉じる
