「ASEAN Quantum Summit」初開催、量子技術で日本とマレーシアが連携協力
(マレーシア、ASEAN)
クアラルンプール発
2025年12月23日
マレーシア南部ジョホール州の州都ジョホールバルで、12月10日から12日にかけて「ASEAN Quantum Summit 2025
」が初めて開催された。本サミットは、マレーシアの大学や研究者が所属するコンソーシアム「Malaysia Quantum Information Initiative(MyQI)」とマレーシア工科大学(Universiti Teknologi Malaysia:UTM)が主催し、ASEANの量子技術に関する研究内容の発表や企業の技術連携の促進を目的としたイベントだ。
経済産業省およびジェトロは、産業技術総合研究所(産総研)の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT、注)、量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)との連携により、本サミットに日本企業の技術を発信するジャパンブースを設置した。
12月11日の開会あいさつでは、オン・ハフィズ・ガジ・ジョホール州首相が登壇し、量子技術が産業構築、デジタルインフラの安全確保、複雑な社会課題への対応において変革的な役割を果たすとし、「量子技術はテクノロジーの仕組みを根本から変えるパラダイムシフトの始まりである」と述べた。
サミットの様子(ジェトロ撮影)
産総研の益一哉博士は基調講演で、2023年に産総研内に設立したG-QuATについて紹介し、「12月10日にG-QuATを活用した量子コンピュータ分野の人材・技術交流の促進を目的としてマレーシア国民大学(UKM)と協力覚書(MOU)を締結した」と発表した。
また12月11日には、大阪・関西万博でも注目を集めた大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)とUTMが協力覚書を締結し、日本の量子技術について東南アジアとの連携による国際展開をさらに促進することが発表された(2025年10月9日付お知らせ参照)。
MOU締結の様子(ジェトロ撮影)
参加した日本企業からは、マレーシアにおける今後の量子コンピュータ産業の発展を視野に、まずは調査・研究活動から着手したい、あるいは、今回の出展を通じて協業先の開拓を進めたい、といった声が聞かれた。
(注)量子技術の社会実装を目的として、産総研内に設立された研究センター。英文名称はGlobal Research and Development Center for Business by Quantum-AI technologyで、略称はG-QuAT。
(新田浩之、都築佑樹)
(マレーシア、ASEAN)
ビジネス短信 8836bf2e07664970




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