重慶市、「西部水素バレー」を建設すると発表

(中国)

成都発

2024年01月04日

中国の重慶市政府は12月20日に記者会見を開き、九龍坡区において2023年から2035年までの間に3段階に分け、水素エネルギー科技パーク、水素エネルギー産業パーク、水素エネルギー産業基地で構成される「西部水素バレー」を建設すると発表した。

九龍坡区委員会の李順副書記は「同区の西部(重慶)科学城に200億元(約4,000億円、1元=約20円)を投じ、3平方キロメートルの面積の西部水素バレーを建設する。国家級水素エネルギー商用車生産拠点、水素エネルギーおよび燃料電池関連部品の研究開発基地などを整備する」と述べた。また、水素産業の発展のために、水素エネルギー技術の重要性を強調し、水素エンジン、燃料電池コア部品および商用車への応用のために技術力向上を支援していくと話した。

重慶市人民政府が公開しているロードマップには、次のように段階的な計画、目標が明示されている。

  1. 2027年までに成都、重慶市間の水素物流モデルルートの整備、燃料電池自動車の商用化を進める。
  2. 2030年までに中国国内で影響力のある水素エネルギー実証区域を設定し、水素エネルギー産業の生産総額が400億元に達する。
  3. 2035年までに中国全土における最先端の水素エネルギー基地を整備し、産業生産総額が1,000億元に達する。

また、中国国内外の企業が西部水素バレーの建設に向けた取り組みを積極的に推進している。ドイツの自動車部品大手のボッシュと重慶市の自動車メーカー慶鈴汽車との合弁会社、博世水素動力系統(重慶)は、2021年12月に九龍坡区にて新工場建設に着工した。工場の総敷地面積は約360ムー(約24万120平方メートル、1ムー=約667平方メートル)で、水素エネルギーの研究開発、試験、生産・製造、販売などを総合的に行い、水素エネルギーの応用拡大を目指している。

ボッシュの王偉良中国総裁は、「弊社は水素エネルギー産業を重要視している。同分野への投資を継続的に実施し、自社の革新的な技術を活用して、他社と協力しながら水素エネルギー・エコシステムを構築していく」と述べた。

(王植一)

(中国)

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