長安汽車がロボット開発会社を新設、インテリジェント化への転換を加速

(中国)

成都発

2025年12月05日

中国大手自動車メーカーの重慶長安汽車は11月29日、ロボット開発を手掛ける新会社「長安天枢智能機器人科技」(以下、長安機器人科技)を設立すると発表した。発表によると、長安機器人科技の登録資本金は4億5,000万元(約99億円、1元=約22円)で、重慶長安汽車が50%出資し、同社の全額出資子会社の長安科技が10%を出資する。このほか、重慶長安汽車の親会社である中国長安汽車集団(注1)および辰致汽車科技集団が残りの40%の株式を所有する。

長安機器人科技は、主要事業として人型ロボットを中心に、多様なニーズに対応できるロボット産業の発展を促進し、「エンボディドAI(人工知能)」(注2)分野での製品開発やソリューション提供を進め、ロボット産業の自動車製造業への応用による両産業の「双方向の相互強化」を実現するとの方針を示した。また、同発表では、長安機器人科技の設立は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で採択された「第15次5カ年(2026~2030年)規画」の制定に関する共産党中央委員会による建議と、長安汽車のグレードアップ・発展戦略の方向性に沿ったものとした。

中国長安汽車集団が同日に開いた「デジタル・インテリジェント化変革始動大会」で、同社の朱華栄董事長兼共産党委員会書記は、自動車産業が直面しているチャンスと試練について指摘するとともに、自動車企業にとってデジタル・インテリジェント化への転換の推進は戦略的に重要な意義を持つと強調した。また、朱董事長は「デジタル・インテリジェント化への転換の本質は、ビッグデータを核心資産として、自動車産業の業務プロセス、運営モデル、価値創造の方法を再構築することにある。その中で業務のデジタル化と技術基盤の構築は核心的な任務を担っており、今後は『研究、生産、供給、販売、輸送』と『購買、販売、使用、修理、サービス』という産業チェーン全体の各段階において、デジタル体系の構築を図るべきだ」と強調した。

(注1)中国長安汽車集団は7月29日、独立した中国国務院国有資産監督管理委員会傘下の中央国有企業として再編された(2025年8月5日記事参照)。

(注2)物体を操作したり、人とコミュニケーションを取り物理的な作業を支援したりする、身体性を持つエージェントベースのAIシステム。

(王植一)

(中国)

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