在日大使館とジェトロ、東京でパキスタンビジネスセミナーを開催

(パキスタン、日本)

カラチ発

2025年12月05日

在日パキスタン大使館とジェトロは12月2日、東京でパキスタンビジネスセミナーを開催した。企業や公的機関の関係者など、約50人が参加した。

開会あいさつをしたアブドゥル・ハミード駐日パキスタン大使は、パキスタンに対する日本側の懸念として「安全性」があることを挙げ、「今日のパキスタンはイメージ以上に安定し、安全で予測可能」と強調した。また、日本企業から多く寄せられる質問として、長期投資の安定性があるのかという問いに対しては、「政府による改革が進んでおり、進出日本企業は事業を継続、拡大している」とした。

パキスタンの最新ビジネス事情について講演したジェトロ・カラチ事務所の糸長真知所長は、同国の直近の政治経済情勢や日本企業の進出状況などについて説明した。直近の経済は低調ながら安定した成長が見込まれており、2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)のGDP成長率は3.25~4.25%を見込んでいるという。最近の企業から同所への問い合わせは、10月から施行された車齢5年までの中古車の商業輸入開始(2025年10月6日記事参照)や、6月にコマツがカナダのバリック・マイニングがバロチスタン州で進めるレコディク銅・金鉱山開発プロジェクト向け鉱山機械の提供を発表したことを受けた鉱山に関するものなどがあるとした。

写真 あいさつするハミード大使(左)、講演するジェトロ・カラチ事務所の糸長所長(右)(ともにジェトロ撮影)

あいさつするハミード大使(左)、講演するジェトロ・カラチ事務所の糸長所長(右)(ともにジェトロ撮影)

マディア・アリ商務参事官は、日本企業とのビジネスが期待される分野として、食品、デジタル・IT、鉱物資源を挙げた。日パ企業の協業の例として、デジタル分野で日本が設計、パキスタンが開発し、グローバル展開を目指すなど、双方の強みを組み合わせることで長期的、安定的な共同価値創造モデルを目指すことができるとした。

また、日本の少子高齢化を背景に、昨今注目度の高いパキスタン人材の活用可能性についても講演があった。2億5,500万人と世界5位の人口を擁する同国は、平均年齢が24歳、人口の約67%が30歳未満だという。毎年7万5,000人のIT関連卒業生とエンジニアを輩出しており、IT分野をはじめとしたパキスタン人材の日本でのさらなる活躍が期待されるとした。

質疑応答の際、参加者にパキスタンへの渡航経験の有無が問われる場面があったが、参加者の半分以上は渡航経験がないという反応だった。まずはセミナーの参加などの情報収集、次は現地への渡航と、一歩ずつパキスタンビジネス検討へのアクションを広げてほしい、との期待の声が聞かれた。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

(糸長真知、古屋礼子)

(パキスタン、日本)

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