在ロシア日系企業の景況感、利下げ後も回復せず、ジェトロ調査

(ロシア、日本)

調査部欧州課

2025年12月11日

ジェトロが11月6日から20日にかけてモスクワ・ジャパンクラブに加盟する121社・団体を対象に景況感アンケートを実施したところ(注1)、自社の景況DI(注2)は、直近の2025年6月の調査と比べ4ポイント低下(マイナス55)した。DI指数が前回比で悪化するのは2期連続(添付資料図参照)。前々回の調査(2025年2月)まで景況DIは、マイナスが続く中でも全体的には緩やかな改善傾向にあったが、状況に変化がみられる。

過去の調査で複数の企業が景況感低迷の理由として挙げていた政策金利の高さは、今回指摘が少なかった。ロシアの主要政策金利(キーレート)が徐々に引き下げられていることが背景にあるとみられる(2025年10月30日記事参照)。今回調査で金利の高さの代わりに目立ったのが、中国の勢いに関する指摘だ。ある日系メーカーは「市場地位を確立した中国勢の台頭により、市場環境は相当に悪い」とコメント。「中国が大量に製品を持ち込んでいることもあり、しばらくは困難が続く見込み」との回答もみられた。

このほかに景況感を悪化させる要因として、回答企業からは、レピュテーションリスクなどに起因する活動の自粛や西側諸国からの経済制裁、並行輸入の一部解禁による市場価格の乱れ、インフレなどの声が聞かれた。米ロ間の対話が進む中でも、日系企業のロシアビジネスを取り巻く環境に劇的な改善はなく、企業が従前の困難にいまだに直面していることがうかがえる。

(注1)回答企業・団体数51、有効回答率42.1%。

(注2)景気動向指数とは、ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。景況DIは、「良い」と回答した企業の比率から「悪い」とした比率を引いた数値。

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