タヤーニ外相が「2027年末には輸出額7,000億ユーロ達成可能」と強調

(イタリア、EU)

ミラノ発

2025年12月25日

イタリア・ミラノで12月17日、イタリア貿易促進機構(ITA)などが中心となり「輸出促進と企業国際化のための全国会議」が開催された。アントニオ・タヤーニ副首相兼外務・国際協力相(以下、外相)をはじめ、フランチェスコ・ロッロブリジダ農業・食料主権・林業相(以下、農林相)、イタリアの経団連に相当するイタリア産業連盟(コンフィンドゥストリア)のエマヌエレ・オルシーニ会長らが登壇した。今回で3回目の開催で、参加者は約2,150人と前年の3倍になった。また同会議では、企業が在外各国のイタリア大使とオンライン面談でき、海外展開などについて相談できるスペースが設けられ、5,000件近くの面談申し込みがあり盛況となった。

タヤーニ外相は、輸出はイタリア経済の成長を支える主要な原動力だとし、国際情勢が緊張状態にあるにもかかわらず、イタリアはドイツやフランスなどに比べ、2倍の速さで成長しており、2027年末には輸出額7,000億ユーロ(年間)の目標達成は可能だと述べた。イタリアの2024年の輸出額は約6,240億ユーロ。2025年1月~10月の輸出額は5,375億ユーロで、前年同期比3.4%増となった。同外相は、対米輸出についても、米国関税の影響でドイツ、フランスなどが前年同期比減に転じる中、イタリアは同9.1%増加していると強調した。

さらにタヤーニ外相は、ASEANや中国、日本、中南米、メルコスールなど非欧州圏における活動も強化すると表明。また、アフリカ外交も最優先事項とし、特にイタリア企業の労働力確保のため、アフリカからの正規移民の受け入れを促進していることを紹介した。2026年1月1日からは外務・国際協力省の機構改革により、政治・国際安全保障局に加え、輸出促進局が設置される。同省として、イタリア企業の海外展開支援に本腰を入れる。

内燃機関搭載車の新車販売禁止見直しは歓迎

なお、欧州委員会が2025年12月16日に発表した、2035年以降の内燃機関搭載の新車販売禁止措置の見直しについて、タヤーニ外相、ロッロブリジダ農林相ともに歓迎した(2025年12月25日記事参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。タヤーニ外相は、仮に見直しがなければ、イタリアでは7万人の雇用が失われていたとした。ロッロブリジダ農林相は、農業機械の電動化にEUの復興基金「国家復興・レジリエンス計画(PNRR)」が割り当てられているが、充電設備の整備なども含めてまだ実現していないことを指摘。一方で、内燃機関を搭載した環境負荷の低い農業機械もあり、イデオロギー的な政策による電動化推進に懸念を示した。

写真 参加企業が在外各国のイタリア大使とオンライン面談できるスペース(ジェトロ撮影)

参加企業が在外各国のイタリア大使とオンライン面談できるスペース(ジェトロ撮影)

(平川容子)

(イタリア、EU)

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