四川省で「2025世界動力電池大会」が開催、グリーン転換に言及

(中国)

成都発

2025年12月03日

「2025世界動力電池大会」が11月12日、中国・四川省宜賓市で開幕した。同大会は四川省政府が主催し、「新視野・新エコシステム・新機会」をテーマに開催された。中国科学技術協会の万鋼主席や四川省共産党委員会の王暁暉書記、工業情報化部の辛国斌副部長、四川省の施小琳省長らが出席した。

万主席はあいさつの中で、新質生産力(注)を代表する動力電池産業は、中国で過去20年の間、自主的なイノベーション能力が向上し、サプライチェーン構築も進んできていると述べた。さらに、「四川省は中国の動力電池産業の発展において重要な地位を占めている。特に宜賓市は、動力電池産業が都市と融合し、産業クラスターの拡大と都市機能の向上を実現している」と強調した。また、王書記は「中国は最大規模の動力電池産業のエコシステムを構築しており、世界の業界発展をリードする存在となっている」としたうえで、「中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)では第15次5カ年規画(2026~2030年)に向けた戦略的な計画が打ち出され、全面的なグリーン転換を加速し、新エネルギーなど戦略的新興産業の発展を明確に提起した」と強調した。

同大会において、「2020~2025動力電池の重要成果」が発表された。発表によると、中国の年当たり動力電池搭載量は2020年の63.6ギガワット時(GWh)から2024年には548.8GWhへと急増し、2025年は第3四半期までですでに493.9GWhに達した。量産電池セルのエネルギー密度も全体的に10%向上している。

また、動力電池産業分野では、中国電池メーカーが車載電池の性能向上を図っている一方で、都市のグリーン化に向けた取り組みも展開している。中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は2025年11月24日、同大会の開催地である四川省宜賓市政府と「ゼロカーボン宜賓市」に関する戦略的協力協定を締結したと発表した。双方は、今後5年間にわたり「ゼロカーボン産業」「ゼロカーボンエネルギー」「ゼロカーボン都市」「ゼロカーボンスマート」の4つの分野を中心に全面的な協力を展開する。CATLは「ゼロカーボン工場+ライトハウス工場」の二重モデル構築を推進し、両社は再生可能エネルギーの開発などを共同で推進する方針を明確にした。

(注)新質生産力とは、技術の革命的なブレークスルー、生産要素のイノベーティブな配置、産業構造の深い転換・レベルアップにより生み出される先進的な生産力とされる。

(王植一)

(中国)

ビジネス短信 419098d342787ac3