COP30で英国など6カ国、クリーン電力サプライチェーン声明を発表

(英国、ブラジル、オーストラリア、カナダ、ケニア、オランダ、ザンビア)

ロンドン発

2025年12月08日

英国政府は11月15日、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30、注1)で、オーストラリア、カナダ、ケニア、オランダ、ザンビアとともに、グローバルクリーン電力同盟(GCPA、注2)サプライチェーンミッション(注3)のビジョン声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

GCPAは、グローバル・ストックテイク(GST、注4)で掲げた2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍に、エネルギー効率を2倍に引き上げる目標実現に向け、クリーンエネルギー移行の重要課題に取り組む一連のミッションを展開している。最初のミッションは2024年11年に公表された英国とブラジルが主導する金融ミッション(2025年12月5日記事参照)で、本サプライチェーンミッションはそれに続く取り組みだ。

各国は本ミッションを通じて、政府、国際機関、第三セクターなどのパートナーと協力し、クリーンエネルギー・サプライチェーンに関する課題解決を進める。具体的には、先進国・途上国双方でクリーンエネルギー移行に向けた障壁を取り除き、移行のペースに見合う強靭(きょうじん)なサプライチェーンの構築を目的とする。

声明で掲げた本ミッションが取り組む4つの柱は次のとおり。

  1. データの変革:クリーン電力サプライチェーンに関するデータ不足と透明性の欠如は、政策立案や政府介入、投資判断を阻害している。このため、国際エネルギー機関(IEA)と連携し、信頼性の高いグローバルサプライチェーンデータへのアクセス手法を提言する。
  2. 送電システム:変圧器や開閉装置など主要部品の供給不足が送電網整備の遅れを招いていることから、規制緩和、投資誘致、政府・規制機関・産業の連携強化、を通じて、電力網プロジェクトの遅延改善、主要部品の生産拡大に取り組む。
  3. 循環型経済:再生材料市場は規制の不一致および国際基準の欠如による制約を受けているため、規制の統一化やリサイクル原料の越境流通促進を図り、循環型経済の発展を支援する。
  4. 新興国・発展途上国(EMDE)の参加拡大:豊富な重要鉱物を保有するEMDEの多くがクリーン電力のバリューチェーンから取り残されているため、資金調達リスクの低減、必要な技能・技術へのアクセス拡大を通じ、EMDEの包括的な参加を確保することを目指す。

(注1)2025年11月10~22日に、ブラジル・ベレン市で開催。

(注2)2024年11月、ブラジル・リオデジャネイロ市で開催されたG20サミットで発足した、クリーンエネルギー移行加速のための期限付き国際イニシアチブ(2024年11月29日記事参照)。

(注3)サプライチェーンミッションは2025年4月にロンドンで開催された「エネルギー安全保障の未来サミット」で設立された。

(注4)パリ協定の目標達成に向けて各国と関係者が進捗を確認するプロセス。

(バリオ純枝)

(英国、ブラジル、オーストラリア、カナダ、ケニア、オランダ、ザンビア)

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