英政府、グローバルクリーン電力同盟金融ミッション計画を発表

(英国、ブラジル、チリ、コロンビア、モザンビーク、アフリカ、カリブ共同体)

ロンドン発

2025年12月05日

英国政府は11月14日、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30、注1)で、グローバルクリーン電力同盟(GCPA、注2)の金融ミッションの下、2つの計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。グリーン・ファイナンス分野での英国の国際的リーダーシップの強化を図る。

GCPA金融ミッションは英国とブラジルの主導のもと、グローバル・ストックテイク(GST、注3)の目標に沿いながら、本ミッションのパートナー(注4)の支援を通して新興国・発展途上経済国(EMDE、注5)でのクリーンエネルギー投資の拡大を図ることを目的としている。

今回公表された2つの計画は次のとおり。

(1)高品質エネルギー投資計画ロードマップPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます):グリーン・ファイナンス研究所と世界銀行のエネルギー部門管理支援プログラム(ESMAP)が共同で策定したロードマップで、ミッションのパートナー向けに提供される。EMDEのクリーンエネルギープロジェクトの支援に向け、大規模な民間投資を誘致するために必要となる段階的な投資プロセスを提示する。

(2)パートナー国・地域向けクリーンエネルギー行動計画:カリブ海地域、チリ、コロンビア、モザンビーク、アフリカ連合(AU)といったパートナー国・地域向けの、国別のクリーンエネルギー行動計画(英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。本ミッションのパートナー国がクリーンエネルギー移行に向けて、民間投資を呼び込むために重点的に取り組む主要分野を示すもので、1.民間資金調達トレーニングとスキル構築、2.クリーンエネルギー投資計画の支援、3.投資準備が整ったプロジェクトの形成支援を提供する。

英国はCOP30でクリーンエネルギー移行に向けた資金拡充を重要分野の1つとして位置付け、独自の国際気候変動ファイナンス(ICF、注6)を通じて2026年4月までに116億ポンド(約2兆3,780億円、1ポンド=約205円)の提供を目指し、2025年までに適応資金を2019年の3倍に引き上げるという公約を果たす方針を示した。

(注1)2025年11月10~22日にブラジル・ベレン市で開催。

(注2)2024年11月、ブラジルのリオデジャネイロ市で開催されたG20サミットで発足した、世界的なクリーンエネルギー移行の加速を目的とする、期限付きの国際的取り組み(2024年11月29日記事参照)。

(注3)パリ協定の目標達成に向けた進捗を各国・関係者が確認するプロセス。2030年までに再生可能エネルギーの容量を3倍に、エネルギー効率を2倍にする国際目標を設定。

(注4)非政府組織、民間投資家、国際機関、多国間開発銀行、産業界代表者などで構成。EMDEと連携し、金融ミッションへの関与ならびにEMDEからの支援要請への対応を行う。

(注5)世界経済を先進国経済(AE)と新興国・発展途上国経済(EMDE)の2分類に分ける国際的な枠組みに基づく区分。

(注6)途上国が抱える国気候変動の課題に対して財政支援を行う英国政府の取り組み。

(バリオ純枝)

(英国、ブラジル、チリ、コロンビア、モザンビーク、アフリカ、カリブ共同体)

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