在欧日系企業全体の2025年営業利益「黒字」見込みは前年比0.7ポイント減少も、中・東欧は堅調

(欧州、EU、日本)

調査部欧州課

2025年12月23日

ジェトロが12月17日に発表した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2025年12月17日記事参照)によると、2025年の営業利益「黒字」見込みの割合は、欧州全体(全業種)で前年調査から0.7ポイント減の65.5%となった。一方、中・東欧は全業種で前年調査から5.5ポイント増で63.8%となり、特に製造業が64.5%(前年調査52.4%)と12.1ポイント増加し、下支えした。国別では、集計対象国の約半数で「黒字」見込みの割合が前年より増加し、特にフィンランド、ハンガリー、ポルトガルでは拡大幅が大きかった。一方、デンマーク、フランスは15ポイント以上も縮小した。

ここ数年の営業利益見込みの推移をみると、2025年の営業利益「黒字」見込みの割合は、在EUの日系企業が65.6%、在英国の日系企業が70.0%で、前年比でみるとEUは2年連続、英国は3年連続で減少した。2025年の営業利益「赤字」見込みの割合は、EUが15.9%、英国が14.3%となり、前年比でEUは微増、英国は微減だった。

2024年実績比の2025年の営業利益見込み(欧州全体・全業種)では、「改善」が32.9%で、「悪化」を4.6ポイント上回り、2.1ポイント上回った前年調査時よりその差は拡大した。中・東欧の製造業では、「改善」する割合は44.7%で前年より10.6ポイント拡大、「悪化」する割合は23.7%で14.1ポイント縮小と、好調だった。

2025年の営業利益見込みが前年比で「改善」する理由については、西欧では「現地市場での需要増加」の割合が最も多く、中・東欧の製造業では「生産効率、販売効率、稼働率などの改善」が最多で、企業努力も「改善」に貢献した。一方、前年比で「悪化」する理由については、欧州全体、西欧、中・東欧いずれも「現地市場での需要減少」が最多だった。「人件費の上昇」は、欧州全体および中・東欧で2位となった。

2025年と比較した2026年の営業利益見通し(欧州全体・全業種)については、「改善」が40.7%で、前年調査と比べて0.1ポイント増加、「悪化」が9.6%で、1.3ポイント減少した。国別では、対象国の6割近くの国で「横ばい」と「悪化」の合計が「改善」を上回った。特にスウェーデンとチェコでは、2割超が「悪化」の見通しで、国によってバラツキがある。

(田中春彦)

(欧州、EU、日本)

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