米主要港、10月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比1.8%減、2026年前半も減少傾向続く見通し

(米国)

ニューヨーク発

2025年12月15日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(12月8日)によると、2025年10月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、前月比1.8%減、前年同月比7.9%減の207万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。

今後の見通しでは、11月は前年同月比11.6%減の191万TEU、12月は同12.7%減の186万TEUと予想されており、7月をピーク(239万TEU)に、いずれも年間で最も低調な月間貨物量となる見込みだ。11~12月は伝統的に需要が鈍化する時期だが、前年比での大幅な減少率は、2024年後半に米東海岸とメキシコ海岸の港湾スト(2024年10月7日記事参照)の懸念から輸入が急増したことが背景にある。加えて、多くの小売業者が関税回避のため、2025年は例年よりも前倒しで貨物を輸入したことも影響している。2025年通年での輸入量は前年比で1.4%減少すると予想されている。

なお、2026年1月には貨物量が半年ぶりの前月比増加と見込まれ、200万TEUと予測されるが、前年同月比では依然10.3%減となる見通し。その後2月は186万TEUで同8.5%減、3月は同16.8%減の179万TEU、4月は同10.9%減の197万TEUと予測されている。

ハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏は「関税の影響は、2025年第4四半期から2026年前半にかけて貨物需要が低迷するかたちで表れるだろう」「アジアと欧州からの貨物スペース需要減により、両海岸でコンテナ運賃は既に下落傾向にある」と指摘した。

物流コンサルタントを務めるジョン・マコーリー氏は、2026年も需要の減少が続くと予想しており、関税も影響しているものの、その減少主因として「米国における全体的な消費需要の低迷」にあると見込んでいる。世界中のコンテナの追跡・分析を行うVizionによると、2025年9~11月の大半における週間TEUの予約件数は2024年を下回っており、既に消費財需要の減速を示唆している。マコーリー氏は「消費需要の低迷サイクルが続けば、コンテナ需要の継続的な問題が深刻化するだろう」と述べ、運送会社は需要減少の影響を受け、債務不履行や合併につながる可能性があると指摘した。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国)

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