中国、ビジネスと金融の連携強化で一層の消費促進

(中国)

北京発

2025年12月17日

中国の商務部、中国人民銀行(中央銀行)、国家金融監督管理総局は12月14日、「ビジネス分野と金融分野の連携強化による一層の消費振興に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同通知では、ビジネス部門と金融部門の連携強化、消費重点分野への金融支援強化、政府・金融機関・企業の連携強化の3分野計11項目の措置が打ち出されている。

ビジネス部門と金融部門の連携強化では、地方政府のビジネス主管部門と金融管理部門が協力体制を整備し、情報共有や政策の連携を強化するとした。また、既存政策に基づき具体的な実施細則を策定し、着実に実施するとした。

消費重点分野への金融支援強化においては、次の5分野の取り組みが盛り込まれている。

(1)モノ消費のグレードアップ

  • 自動車など高額耐久消費財やデジタル製品への金融サービス強化
  • 分割払いやクレジットカードなどのサービス拡充に加え、個人の信用力に応じた柔軟な融資条件の設定
  • 国内・国際貿易を行う企業などと金融機関の連携強化、および海外優良品の国内導入の促進

(2)サービス消費の拡大

  • 家事代行、飲食、文化・娯楽、教育、旅行、介護といった重点サービス分野の特徴に応じた金融商品・サービスの開拓
  • サービス消費・介護分野の事業者への積極的な融資の奨励
  • 零細企業向け金融商品の拡充

(3)新型消費の育成

  • 首発経済(注1)や「人工知能(AI)+消費」といった新しい消費形態への金融支援の模索
  • ライブコマース事業者などとの連携による、インターネット時代に適応したビジネスモデルの開発推進

(4)多様な消費シーンの創出

  • 融資、決済、保険などの金融サービスの一体的な提供を通じた、新たな消費形態やビジネスモデルの構築支援
  • サプライチェーン全体とライフサイクル全体にわたる金融サービスの提供
  • 訪中者の決済利便性向上

(5)農村部の消費高度化

  • 県域(注2)における消費キャンペーンや農村振興関連イベントへの融資支援
  • 物流拠点や商業施設の新設・改修、特にコールドチェーン施設への融資支援

政府・金融機関・企業の連携強化では、多様な消費促進キャンペーンの共同実施や情報共有を通じて連携を強化し、事業者と消費者のニーズに応えるとした。

先般北京で開催された中央経済工作会議では、2026年の重点政策として、「内需拡大」を引き続き筆頭に挙げ、消費振興策の実施などが示された(2025年12月12日記事参照)。今後も関連政策の動向が注目される。

(注1)「首発経済」は、企業による新製品の発表、新業態・新モデル、新サービス、新技術の導入、店舗の開業などの経済活動の総称を指す。これまでになかった新たな製品やブランドを出店することで、経済を振興することを目的とする。

(注2)中国の行政区分は、省級、地級、県級、郷級の4つの階層で構成される。県域は、行政単位である県の管轄区域内の総称。県城は県政府の所在地。県には郷、鎮が置かれており、郷は各村で構成される。

(張敏)

(中国)

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