日系住宅メーカーが木造建築関連規格を策定、ベトナムで初
(ベトナム、日本)
ハノイ発
2025年12月10日
日系住宅メーカーのライフデザイン・カバヤ・ベトナムは11月15日、ハノイ市内でベトナム建設省傘下の建設科学技術所(IBST)とともに、ベトナムにおける木造建築の製造者規格(TCCS)を策定したことを発表した。同社によると、国内で木造建築関連の規格が策定されるのは初めてだ。
今回策定された規格は次の5つで、部材の構造要件、設計や施工の指針、性能評価に関わる内容となっている。
- 集成材規格(TCCS 96:2025/IBST)
- 合板規格(TCCS 97:2025/IBST)
- 設計規格(TCCS 98:2025/IBST)
- 施工規格(TCCS 99:2025/IBST)
- 検査規格(TCCS 100:2025/IBST)
IBSTと2024年4月に締結した業務委託契約を皮切りに、共同研究などを経て今回のTCCS策定に至った。同社の田中秀樹代表取締役社長は「TCCSは発行組織内で適用される規格ではあるものの、建築用木材、設計、施工、検査などの考え方が体系化された。ベトナムで初めて木構造について国の認可のもと、強度や耐久性などの基準が具体化した」と説明する。また、「安全性の担保、行政手続きの明確化と、それらによる民間事業者の参入促進が期待され、日本で培われた木造建築技術を生かすことが可能となる」と期待を寄せる。
同社はライフデザイン・カバヤ(本社:岡山県岡山市)の現地法人として2019年にハノイ市に設立され、これまで主に人材育成、CADなどの事業を展開してきた。同国進出時に構想していた木造建築ビジネスについては、「(当時は国内に)関連規格がなかったことから参入のきっかけがつかめなかった」と田中氏は振り返る。規格策定の道筋を探していたところ、ジェトロから2022年に紹介された地場ゼネコン幹部を通じ、ベトナム建設省、業界団体などとの関係を築いた。今後は、パートナーである地場企業とともに、リゾートでの戸建て住宅や公共施設など木造建築プロジェクトの具体化を進めていく方針だ。
規格を発表するライフデザイン・カバヤと建設省関係者(ジェトロ撮影)
(小林恵介)
(ベトナム、日本)
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