11月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.2%上昇
(カナダ)
トロント発
2025年12月18日
カナダ統計局が12月15日に発表した2025年11月の消費者物価指数(CPI)
は、前年同月比2.2%の上昇となり、10月の上昇率(2.2%、2025年11月27日記事参照)と同水準だった(添付資料表参照)。エネルギーのうちガソリンを除くCPIは3カ月連続で2.6%の上昇となった。
統計局は、物価減速の主な要因としてサービス価格の鈍化を挙げた。サービス価格は前年同月比2.8%上昇で、10月の3.2%から低下した。旅行関連の下落が顕著で、旅行ツアーは8.2%減少し(10月2.6%増)、宿泊施設は6.9%減少(10月0.6%減)と大幅に下落した。特にオンタリオ州では、2024年の人気の高いコンサート開催による高水準の反動が影響したことを挙げた。家賃は4.7%増と10月の5.2%増から鈍化し、ほとんどの地域で上昇ペースが緩やかになった。
一方、物価上昇の要因として、食料品価格の上昇とガソリン価格の下落幅縮小を挙げた。家庭用食料品価格は4.7%上昇し、2023年末以来最大の伸びとなった。生鮮果物(4.4%増)はベリー類の値上がりが寄与し、その他の加工食品(6.6%増)も上昇した。牛肉(17.7%増)は北米での在庫減少が背景にあり、コーヒー(27.8%増)は悪天候と米国による関税の影響が価格上昇の要因となったと指摘した。ガソリンは7.8%減と下落したが、10月(9.4%減)より下落幅が縮小。さらに、製油所の操業停止の影響で、前月比では1.8%上昇した。また、携帯電話サービスも12.7%増と上昇した。
発表を受けて、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)傘下のRBCエコノミクスのシニア・エコノミストのクレア・ファン氏は、カナダ中央銀行が金利変更で食品インフレの供給要因を抑える余地は限られている、と指摘する。一方、コアインフレは11月に落ち着き、CPIトリム(注)と中央値は前月比0.1%の上昇にとどまったことから、「利上げの必要性は低く、経済改善を踏まえた追加利下げも不要だろう」と述べた(RBCカナディアン・アナリシス12月15日)。
中銀の次回の政策金利と、経済見通しを示す中銀の金融政策報告書の発表
は2026年1月28日に予定されている。
(注)CPIの中でも、価格変動が大きかった品目を除いて算出される指標
(井口まゆ子)
(カナダ)
ビジネス短信 1903802461073f4f




閉じる
