在欧日系企業の人権デューディリジェンス実施割合は4割超え、脱炭素化の取り組みも回復基調

(欧州、EU、日本)

調査部欧州課

2025年12月22日

ジェトロが12月17日に発表した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2025年12月17日記事参照)では、在欧日系企業の人権尊重と脱炭素化の取り組みを取り上げた。

人権デューディリジェンス(人権DD、注)を実施している企業は、前年から4.5ポイント増加し41.7%となった。前年の実施率が21.7%だった中小企業では、12.3ポイントと特に大きく増加し34.0%になった。実施理由としては、「本社やグループ全体の方針・指示」に従ってDDを実施している企業が、74.5%と前年から4.2ポイント増加した。また、「サステナビリティ戦略」「企業の社会的責任」を挙げた企業も50.4%と5割を超えた。人権DD実施の効果としては、67.6%の企業が「社内の人権リスクの低減」を挙げ、「企業イメージ・ブランドイメージの向上」「従業員の働きやすさの改善」も上位につけた。一方、「法令順守」のために実施する企業は、前年の46.5%から12.2%に大幅に減少した。人権DDを実施しない理由としては、「企業規模や事業内容上、人権DDの対象外」という回答が最も多く、特に多い中小企業では43.9%に上った。前年最多だった「人手不足・情報不足」は11.1ポイントと大幅に減少し26.9%となり、「本社の指示待ち、本社で検討中」という回答も3.2ポイント減少し26.9%になった。

前年調査で頭打ちの兆候を示していた脱炭素化に「すでに取り組んでいる企業」は前年比2.1ポイント増の61.8%となり、2023年の61.7%と同じ60%台まで回復した。また、すでに取り組んでいる企業は、企業規模が大きいほど、今後1~2年間で取り組みを拡大する割合が高かった。ビジネスチャンスとして関心の高い脱炭素関連事業としては、「モビリティ・関連インフラ」(42.2%)が最も高い関心を集め、「バッテリー・蓄電」(42.1%)が僅差で続いた。中・東欧では、前年に引き続き「ヒートポンプ」(43.9%)と「太陽光・熱発電」(43.0%)への関心が高いのに対し、西欧では「水素エネルギー」(31.8%)が注目を集めるなど、欧州内でも地域差がみられた。

(注)国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」で定義された、企業が人権尊重責任を果たす上で従うべき継続的なプロセス。企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報共有などが含まれる。

(冨岡亜矢子)

(欧州、EU、日本)

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