職能団体がスリランカ・スタートアップ・セミナーを東京で開催、日本企業との協業・連携を促進
(スリランカ、日本)
コロンボ発
2025年12月05日
専門職につく在日スリランカ人で構成されるスリランカ・プロフェッショナル・アソシエーション・イン・ジャパン(SLPAJ)は12月2日、スリランカの最新ビジネス事情および同国のスタートアップとの連携可能性をテーマにしたセミナーを東京で開催した(日本スリランカ経済委員会、ジェトロ後援)。スタートアップの切り口から、スリランカの最新の姿を日本企業などに広く周知するために実施したもので、会場に選ばれた立命館アジア太平洋大学東京オフィスには約40人の企業関係者などが参集し、説明に熱心に耳を傾けた。
セミナーの冒頭、11月末に発生しスリランカに甚大な被害をもたらしているサイクロン「ディトワ(Ditwah)」の犠牲者に対する1分間の黙とうが行われた(2025年12月1日記事参照)。
ピビトゥル・ジャナック・クマーラシンハ駐日スリランカ大使の開会あいさつでは、「サイクロンの被害に対して、日本政府の迅速な支援に大いに助けられた」との感謝のコメントとともに、今後スリランカのスタートアップとの協業を通じて、スリランカ・日本両国の相互発展を祈念する旨が強調された。
次に登壇したジェトロ・コロンボ事務所の大井裕貴所長は、スリランカの最新ビジネス事情について説明した。今、なぜスリランカが注目されるのかという観点から、インフレ率や外貨準備高の改善などの経済データやIMFの支援などの明るいトピックに加えて、スリランカは地政学的に要衝の地であること、米国の相互関税(20%)による影響の中でもコロンボ港の取り扱い貨物量が増えていることや、日系を含む外資企業の進出動向、スリランカの人材などについて言及した。
続けて、2022年から計115社のスリランカのスタートアップ企業を支援しているSLPAJのメンバーの、みらいコンサルティンググループ(東京都)のシャサール・シャキール・フセイン氏が、スリランカのスタートアップ企業と日本など海外企業との協業を促進する「スタートアップ・カケハシイベント」について説明した。過去の参加者の協業実例として、スリランカのIT企業と千葉県の農家の取り組みを動画で紹介し、農家からは「スリランカは日本をよく理解してくれる国で、パートナーとして大変組みやすかった」というコメントがあった。
加えて、ベンチャーキャピタルとして現地企業に出資するストライダーズ(東京都)のネーラカ・ハツラシンハ氏が、スリランカは国内市場が小さいため、当初から近隣のインド、バングラデシュ、モルディブなどへの海外展開を目指すスタートアップが多いという特徴を説明し、セミナー参加者への貴重な情報提供の機会となった。
クマーラシンハ駐日スリランカ大使のあいさつ(ジェトロ撮影)
ジェトロ・コロンボ事務所の大井所長による講演(ジェトロ撮影)
(大井裕貴、河野将史)
(スリランカ、日本)
ビジネス短信 1033ecbef6f3d694




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