ジェトロ、タイ大手財閥を招聘し、日本とのサステナビリティ連携を推進

(日本、タイ)

海外ビジネスサポートセンターサステナブルビジネス課

2025年12月19日

ジェトロは112627日、タイ企業6社を日本に招聘(しょうへい)した。今回招聘したのは、Charoen Pokphand Group(チャロン・ポカパングループ)、CP ALLC.P.オール)など、日本企業とのサステナブリティ関連事業の連携に関心を持つ、タイの大手財閥企業6社だ(1)。これらのタイ企業は、東京都内でジェトロが開催したピッチイベントに参加した。カーボンニュートラルや人工知能(AI)活用をテーマとし、日タイ両企業の事業紹介やケーススタディ紹介が行われた。

写真 ピッチイベントの様子(ジェトロ撮影)

ピッチイベントの様子(ジェトロ撮影)

そのほか、サステナビリティ関連の日本企業を訪問し、担当者から、関連技術やサービスについて直接説明を受けるとともに、各社施設を視察した。

まず、大林組技術研究所(東京都清瀬市)では、太陽光発電を利用した、国内初のゼロ・エネルギービルを実現した技術と、最先端の制震システムを採用したテクノステーションを中心に、さまざまな実験や実証が行われている。タイ企業は、同所で建設材料や工法に関する環境配慮型技術、防災、AI、ロボティクスなどの実験・実証施設を視察し、説明に熱心に耳を傾けていた。

写真 大林組訪問の様子(ジェトロ撮影)

大林組訪問の様子(ジェトロ撮影)

また、環境系スタートアップのイノカ(東京都文京区)では、同社独自の「環境移送技術(注2)」が紹介された。水槽内に再現されたサンゴ礁・マングローブなどの生態圏を観察し、地域環境の改善や社会実装に向けた取り組みについて説明を受けた。同社はマレーシアに海外拠点を構え、同国を軸にタイをはじめ東南アジアでの事業展開の可能性を探っている。

写真 イノカ訪問の様子(ジェトロ撮影)

イノカ訪問の様子(ジェトロ撮影)

タイ企業は、AIを活用し、二酸化炭素排出量の見える化プラットフォームを提供しているアスエネ(東京都港区)も訪問した。同社は、企業の二酸化炭素排出量の算定から分析・レポートまで、一貫したサービスの提供を強みとしている。既にタイ企業とも取引を行っており、今後の新規事業連携可能性について、活発な意見交換が行われた。

写真 アスエネ訪問の様子(ジェトロ撮影)

アスエネ訪問の様子(ジェトロ撮影)

タイ企業からは、「サステナビリティ関連事項について、(今回の訪問先を含む)日本企業と積極的な情報交換や協力を続けたい」といった声が聞かれた。

タイ政府は、温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ実現を15年前倒しして、2050年とすることを発表しており(2025年10月9日記事参照)、マテリアルの脱炭素化、エネルギーマネジメントへの関心が今後高まるとみられ、両国間のさらなる協業・連携に期待がかかる。

(注1)Charoen Pokphand Group(チャロン・ポカパングループ)、CP ALL(C.P.オール)、サイアム・セメント・グループ(Siam Cement Group)、SCG Chemicals(SCGケミカルズ)、Banpu NEXT(バンプー・ネクスト)、Berli Jucker(バーリ・ユッカー)の計6社。

(注2)海をはじめとした水域の自然環境を、水槽を用いて陸地で再現する独自の技術コンセプト。同社が開発したAI/IoTデバイスを用い、自然を構成する要素を構造化し、実際の環境に近い状況を作り出す。

(木村ローズマリー梨花、木村由子)

(日本、タイ)

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