第3四半期のGDP成長率、前年同期比8.21%、2025年通年の予測値は7.37%
(台湾)
調査部中国北アジア課
2025年12月04日
台湾の行政院主計総処は11 月28日、2025年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を前年同期比8.21%と発表した。2025年通年の成長率の予測値については、8月予測値から2.92ポイント引き上げ、7.37%とした(添付資料図、表参照)。
第3四半期の実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、外需全体(純輸出)の寄与度が7.57ポイントと2008年第3四半期以来の最高水準となり、成長をけん引した。輸出の寄与度は、米国の半導体および関連製品への関税率が引き続き調査中である中、人工知能(AI)関連および情報通信機器の需要が予想以上に好調に推移したことにより、20.9ポイントとなった。輸入(控除項目)の寄与度は輸出および設備投資の需要が牽引し、13.33ポイントとなった。
内需全体の寄与度は0.64ポイントだった。このうち、民間消費が0.56ポイント、固定資本形成が2.31ポイントとなった。民間消費は娯楽関連などの消費が増加したものの、海外旅行により台湾域外で消費する人が多く、小売や外食の売上が横ばいとなり、成長幅は抑えられた。固定資本形成では、AIなど新興技術応用の需要が引き続き旺盛で、企業が投資を拡大していることから、民間投資の寄与度が固定資本形成の中で最も大きく、1.96ポイントとなった。
2025年通年の実質GDP成長率の予測値は7.37%と、8月発表時から2.92ポイント上方修正された。寄与度については、外需が5.37ポイント、内需が2.0ポイントと予測した。外需については、米国関税政策の不確実性が依然としてリスク要因ではあるが、人工知能(AI)や関連する応用技術の需要により、クラウドサービスプロバイダーを中心に関連投資が増加しているため、電子部品や情報通信機器の輸出は引き続き高い伸びを維持する見込みだ。
内需については、固定資本形成の寄与が最も大きく、AI需要に対応するために半導体企業が引き続き積極的に先進プロセスなどの生産能力を拡充しており、好調に推移すると予測した。民間消費については、現金1万台湾元(約5万円、1台湾元=約5円)の給付(注)および自動車・二輪車を購入する際の減税措置を拡大する「貨物税条例」改正案などが、消費を引き上げる可能性があるとした。
(注)台湾当局は、米国の関税政策が台湾の産業と雇用に与える影響に対処するための措置として、8月1日に「国際情勢に対応した経済社会および台湾の民生、安全とレジリエンスを強化する特別条例」を公布(2025年8月4日記事参照)。同条例には、1人当たり1万台湾元の現金給付が含まれ、給付は11月中旬から開始されている。
(江田真由美)
(台湾)
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