石油化学特別法が制定、事業再編や脱炭素化に向けた支援を強化

(韓国)

ソウル発

2025年12月04日

韓国の産業通商部は12月2日、「石油化学産業の競争力強化および支援に関する特別法案」(以下、石油化学特別法案)が国会の本会議で成立したと発表した。

同部によると、本法案の制定により、世界的な供給過剰が問題となっている石油化学産業に対し、高付加価値化・グリーントランスフォーメーションを推進し、未来の競争力を確保するための制度的基盤が整った。同部では、石油化学特別法案の主な内容について、次のとおり説明している。

  • 事業再編、高付加価値化に取り組む企業などへの支援(税制、財政、研究開発、雇用安定、人材育成など)
  • 各種許認可手続きの簡素化(注1)、やむを得ない環境基準超過に対する特例措置、新技術・新工程の検証に対する手続きの簡素化など、規制の特例措置
  • 「独占規制および公正取引に関する法律」の特例措置〔事業再編計画に基づく必要最小限の情報交換、一定の要件を満たした上での共同行為(カルテル)、企業結合の審査期間短縮〕
  • 集合型エネルギー熱供給(注2)に関する特例措置によるコスト削減(事業再編期間中は熱の供給者を自由に選択することを可能にする)

産業通商部の金正官(キム・ジョングァン)長官は「石油化学特別法が、企業による迅速な事業再編や、将来有望な高付加価値製品への事業転換に大きく貢献するだろう」と期待を述べた。

同法案は、国務会議での議決を経て公布され、下位法令などが策定され次第、早ければ2026年第1四半期(1~3月)に施行される。

なお、石油化学産業と同様に、世界的な供給過剰や事業再編、脱炭素化などの対応が迫られている鉄鋼産業においても「鉄鋼特別法」が2025年11月27日に制定された(2025年12月1日記事参照)。特別法制定による両産業の今後の動向が注目される。

(注1)新・増設、工程の改善、設備の閉鎖などに関する環境・消防・建築などの許認可手続きの統合および簡素化。

(注2)1つの大規模施設(熱源施設や発電所)で熱や電気をつくり、それを特定の地域・区域内の複数の需要先にまとめて供給するシステム。

(橋爪直輝)

(韓国)

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