持続可能なイノベーションフォーラム2025、企業が気候変動対策や自然への配慮に向けた取り組みを紹介
(ブラジル)
調査部米州課
2025年11月11日
ブラジル・サンパウロ市内のルネサンス・ホテルで11月6~7日、Climate Action主催の「持続可能なイノベーションフォーラム(Sustainable Innovation Forum)2025」が開催された(注1)。同フォーラムには、気候変動対策に関する民間企業や政界、国際機関などの有識者が出席し、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開催を翌週に控え、さまざまな議論が行われた。
6日に開催された「気候レジリエンスの構築:世界的な適応戦略の推進」のパネルでは、気候変動によるリスクに企業がどのように対応していくべきかについての議論が行われた。「気候レジリエンス(Climate Resilience)」とは、気候変動による影響(干ばつ、大雨、洪水、猛暑など)の影響を予測し、これらに備え、対応する能力のことを指す。生態系、社会、経済は、こうした気候変動による影響に対して柔軟に対応し、被害を最小に抑えるべくサプライチェーンの多様化やインフラへの投資が求められている。パネルに登壇した、ライトスミスグループの共同設立者兼マネージングダイレクターを務めるジェイ・コウ氏は、企業が気候レジリエンス構築に向けた投資を行うことの重要性を述べた。ライトスミスグループは、気候レジリエンスに特化した世界初のプライベートエクイティファンドで、気候変動の影響に対応する成長段階の企業への投資を行っている(注2)。パネルのモデレーターを務めたOECDのマティルド・メスナード氏も「気候変動は確実に起きており、企業は早急に対応すべく投資が必要」と強調した。
「自然に配慮したサプライチェーン:生物多様性を守りながら強靭(きょうじん)性を高める」のパネルでは、マクドナルド社のベス・ハート氏が登壇した。同社は、世界約100カ国に3,700店舗以上を展開する世界最大のファーストフードチェーンの1つ。農家からフランチャイズ店に至るまで複雑で多様なサプライチェーンを抱えながらも、同サプライチェーンに関わる全ての人や企業が自然および生物多様性と生態系の保護を順守すべく、徹底したトレーニングを行っていることを強調した。また同社は、再生型農業(Regenerative Agriculture)に焦点を当て、農業に関する新技術やベストプラクティスを通じ持続可能な農業を推進していることや、2030年までに世界中のサプライチェーンにおいて、「森林破壊ゼロ」を目指していることなどを紹介した。
(注1)Climate Actionは、ロンドンに拠点を置く、気候変動対策やイノベーション、持続可能な金融などの連携を促進すべく2007年に設立された独立系の国際組織。
(注2)ファンドの規模は、約1億8,600万ドル。水管理、農業分析、災害リスク・モデリングなど6つの分野を重点領域と捉えて関連する企業への投資を行っている。
(辻本希世)
(ブラジル)
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