ラテン系の大多数がトランプ大統領の政策が悪影響を及ぼしたと回答、米シンクタンク調査

(米国)

調査部米州課

2025年11月27日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは11月24日、ラテン系国民(注1)のトランプ政権に対する評価の調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)を発表した。それによれば、ドナルド・トランプ大統領の政策がラテン系にとって有害とする割合は、2019年の69%から78%に達した。支持政党別では、民主党支持者が2019年の85%から93%に、共和党支持者でも2019年の38%から55%まで上昇した。

トランプ氏の不支持率は70%(強く不支持55%、やや不支持15%)だった。一方、支持率は27%にとどまった。出身地でみると、移民のラテン系の不支持率は75%と米国生まれ(66%)を上回った。

また、68%が過去1年でラテン系の状況が悪化したと回答した。32%は過去6カ月で米国からの移住を考えたと回答しており、その理由としては「国内の政治的状況」(46%)、「生活費」(26%)が上位に挙がった。

過去1年に実際に経験した困ったこととして、「光熱費などの支払い」(36%)、「家族や友人から借金をした」(36%)、「食品や日用品の支払い」(35%)、「医療保険の支払いや加入」(30%)、「家賃や住宅ローンの支払い」(30%)などが挙げられた。

6割強がトランプ政権の移民政策に反対

65%はトランプ政権の移民政策に対して不支持としている。米国に不法滞在している移民の強制送還は行き過ぎと71%が回答した。これは、2025年2月の調査時(59%)より上昇している。

滞在資格が違法、合法にかかわらず、自身、家族、友人が強制送還されることを懸念すると52%が回答した。年代別では、若年層(18~29歳)が60%、30~49歳で58%と若い世代ほど懸念する割合が高く、50~64歳で43%、65歳以上で32%だった。出身地別では、移民のラテン系が63%と米国生まれ(46%)を上回った。

(注1)中南米出身者を指すラテン系は、全米で2番目に大きな人種・民族グループで、米国人の5人に1人を占める。また、米国で最も急速に成長している人口グループの1つでもあり、人口、有権者、労働力に占める割合が増加している。2026年の中間選挙への影響も大きいとみられる(2025年11月18日付地域・分析レポート参照)。

(注2)実施時期は2025年10月6~16日。回答者は全米のラテン系成人8,046人。

(松岡智恵子)

(米国)