ジェトロ、小豆島で初の輸出商談スキルアップセミナーを開催

(日本)

香川発

2025年11月25日

ジェトロは1118日、「輸出商談スキルアップセミナー in 小豆島」を小豆島町で開催した。本セミナーは、ジェトロ香川と香川県が共同で企画する「海外ビジネス人材育成講座」の一環として、香川県企業の海外展開を後押しすることを目的に開催されたもの。小豆島での実施は初めてとなり、島内企業が身近で海外展開に関する情報を獲得できる機会となった。

小豆島は観光地として有名だが、しょうゆ、手延べそうめん、つくだ煮、オリーブ関連製品など食品加工業の集積地でもある。当日は、食品・農林水産物の輸出に関心を持つ島内企業を中心に10人が参加した。参加企業は輸出初心者と既に輸出しているが輸出を拡大したい企業が約半々の割合で、セミナー後には個別相談会も実施した。

講師はジェトロの農林水産・食品分野の輸出専門家である中正宏氏が務め、輸出の基礎知識や商談で成果を出すための準備やテクニックを解説した。中氏は「商談は準備が肝心」と強調し、商談相手に関する情報収集と自社分析の重要性を説明した。またバイヤーからのよくある質問7項目(注)を紹介し、それら項目を商談資料へ反映することを推奨した。さらに、ターゲット市場に応じた食べ方の提案や製造工程の動画を資料に盛り込む工夫、製品の伝統や文化を踏まえたストーリー作り、海外市場で高まる健康志向への対応など、実践的なポイントを共有した。最後に「輸出の全体像を理解し、自社の現在地を明確にしたうえで、実践できることから一歩ずつ取り組んでほしい」と締めくくった。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

個別相談では、輸出の始め方やターゲット市場への自社製品の売り込み方、輸出時の食品規制や賞味期限の設定などついて参加企業から課題や疑問が寄せられた。中氏は、商品と日本酒をペアリングして販売することや、海外向けにパッケージ素材やサイズの変更をすることなど、具体的な対応策を紹介した。

輸出業未着手の参加企業からは「具体的な事例も交えながら輸出のステップを理解することができた」「輸出の基本を習得することができた。ぜひ実践したい」といった前向きな声が寄せられた。

今回、小豆島で初めて「輸出商談スキルアップセミナーを対面で実施したが、参加できなかった企業向けに12月1日にオンラインのスキルアップセミナーも開催する予定だ。

(注)よくある質問7項目は1.商品開発ストーリー、2.商品の差別化、こだわりポイント、3.誰によってどのようにそのような材料で作られているか、4.ターゲット顧客は誰か、5.創業者の歴史、思い、6.商品の生産、工場の認証など、7.価格戦略、自社の価格ポジション。

(宮下葉月)

(日本)

ビジネス短信 f0404945b86608cf