スウェーデンで国際原子力会議を開催、新規原子力発電を拡大へ

(スウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトビア、ポーランド)

ロンドン発

2025年11月10日

スウェーデン政府は10月7日、「北欧・バルト諸国原子力投資サミット」を開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。会議にはスウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトビア、ポーランドの閣僚や、200社以上の原子力、金融関連の企業代表が参加し、原子力発電の効果的な拡充に向けた方策と、競争力あるサプライチェーンの再構築について、議論を行った。

スウェーデンのロミーナ・ポルモクタリ気候・環境相は、同国沿岸全域で原子力施設建設禁止を解除する法改正案を提案したと述べた。これにより、沿岸地域の原子力施設の新設や、スウェーデンへの投資を希望する事業者にとって、条件が整うと述べ、2026年7月1日の施行を目指すとした。

同国政府の国家原子力調整官のカール・ベルグロフ氏は、原子力発電の費用対効果を確保するため、原子力のサプライチェーン全体と技能開発が連携する「原子力エコシステム」が必要と強調し、銀行や民間金融機関による資金面の支援を歓迎する姿勢を示した。

また、同サミット参加5カ国は共同声明を発表し、各国の原子力発電がエネルギー安全保障の強化や、電力価格の競争力向上、化石燃料の段階的廃止に寄与する可能性を強調した。ラトビア、エストニア、ポーランドの政府代表はパネルディスカッションにも参加し、新たな原子力発電の導入を可能にするための各国の意欲や計画、協力体制について意見を交わした。

スウェーデンのニクラス・ウィクマン金融市場相は、企業の原子力発電への投資を促す長期的な政府支援について説明した。新規原子力発電所への支援は、政府融資や双方向型差額決済契約(CfD、注)のかたちで提供され、各プロジェクトのさまざまな段階で資金援助を行う。この支援業務は財務省の特別事務局が担当するが、政府は10月28日、スウェーデン国家債務管理庁もその責任範囲で政府融資業務を支援するよう指示したことを発表した。具体的には、融資条件が同庁の融資や管理手続きに適合していることを確保するため、申請企業との支援に関する交渉や、欧州委員会との政府支援プロセスに助言支援を行う。

(注)発電事業者の投資リスクを減らすため、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。市場価格がストライクプライスを上回る場合は、発電事業者が差額を支払う。

(バリオ純枝、篠崎美佐)

(スウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトビア、ポーランド)

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