1~9月の外国投資、前年同期比7.7%下落、日本は国・地域別第5位を維持

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年11月04日

インドネシア投資・下流化省は10月17日、2025年第3四半期まで(1~9月)の直接投資実績額を発表した。外資系企業による投資実績額(FDI)は、前年同期比7.7%減の402億8,630万ドルだった(添付資料表1参照)。四半期別に見ると、第3四半期(7~9月)は前期比で4.9%増加したものの、前年同期比では14.6%減少した。また、国内投資と外国投資を合計した累計投資実績額は888億3,300万ドル、そのうち外国投資が全体の45.4%を占めた。

通貨ルピア建ての国内外累計の投資実現額は前年同期比13.7%増となり、2025年政府目標〔1,905兆6,000億ルピア(約17兆1,504億円、1ルピア=約0.009円)〕の75.3%に達した。同省は、規制の簡素化やライセンス供与の迅速化といった取り組みを通じ、通年目標の達成は可能との見方を示している(10月17日付インドネシア投資・下流化省プレスリリース)。

国・地域別では、外国投資全体の31.3%を占めるシンガポール系が125億9,380万ドルで、引き続き首位だった。次いで香港系72億6,270万ドル、中国系54億3,330万ドル、マレーシア系27億2,000万ドルと続いた。日系企業による投資実績額は前年同期比7.6%減の23億2,940万ドルで、第5位を維持したものの、四半期別にみると日系企業による投資実績額は前期同様第6位に位置している。

業種別で最も投資が多かった分野は基礎金属・金属製品・非機械および器具で、107億9,150万ドル(外国系企業の投資総額の26.8%)だった(添付資料表2参照)。次いで鉱業が35億4,090万ドル(同8.8%)、その他サービスが33億7,260万ドル(同8.4%)だった。

地域別にみると、西ジャワ州での外国投資額が61億8,290万ドルで最大だった。次いで中部スラウェシ州(57億780万ドル)、ジャカルタ特別州(45億5,940万ドル)と続いた。

政府が推進する下流化政策(注)の対象産業の投資実績額は、前年同期比58.1%増の431兆4,000億ルピアで、1~9月の投資総額の30.1%を占めた。そのうち、ニッケルなど鉱物産業の下流化における投資実績額が291兆6,000億ルピア(総額の67.6%)で最大だった。下流産業での投資額が多い地域は、中部スラウェシ州、北マルク州、西ジャワ州、西ヌサ・トゥンガラ州、東ジャワ州の順となった(「BKPM」10月17日)。

ロサン・プルカサ・ルスラニ投資・下流化相は「第3四半期の投資実績には、鉱物資源の下流化、交通インフラの開発、公共交通機関や航空機の調達が大きく貢献した。また、国内でココナッツ加工工場にかかる中国大手企業からの投資も寄与している」と述べた(「コンパス」10月18日)。

(注)サプライチェーンの川下を含めた高付加価値化のことで、政府は下流化(hilirisasi)という単語を多く用いる。インドネシア政府は主要資源の国内加工・製品化による付加価値創出を狙いとしており、鉱業(ニッケルなど)、海藻、農林産品など多様なセクターがその対象となっている。

(八木沼洋文、デシー・トリスナワティ)

(インドネシア)

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