国際契約の基礎を学ぶ「海外ビジネス契約の基礎」セミナー、長野で開催
(日本)
諏訪発
2025年11月14日
ジェトロは11月7日、長野市で「海外ビジネス契約の基礎」セミナーおよび個別相談会を開催した(注)。長野県内企業の海外担当者を対象に、国際取引における契約書の重要性やリスク管理のポイントについて、実務に役立つ内容を提供した。
講師は、日本および米国(ニューヨーク州、カリフォルニア州)で弁護士資格を持つ宮武篤司氏(宮武国際法律事務所)が務めた。国際法務や企業法務の分野で長年にわたり実務経験を積み、海外取引や紛争解決に関する豊富な知見を有する。セミナーでは、契約書作成のポイントやトラブル回避のための実践的な知識を解説した。
セミナー冒頭では、国際売買契約の概略を説明。国内売買契約と比較して、国際売買契約は国をまたぐ取引であることや、輸送距離が長くなることからトラブルリスクが増大する。したがって、契約書の作成が不可欠であると強調した。
セミナー会場の様子(ジェトロ撮影)
特に日本企業がトラブルになりやすい項目として、代金決済方法と準拠法・紛争解決方法の設定が挙げられた。代金決済では、可能な限り代金受け取り前の出荷や納品を避け、先払いで取引を行うことが推奨された。紛争解決手段としては、強制執行が可能となる「仲裁」を優先的に検討すべきであり、契約書には仲裁条項の明記が必要であると述べた。
セミナー後には事前予約制による個別相談会も実施され、参加企業が抱える国際取引の課題に対して具体的な助言が行われた。県内製造業の参加者からは「国内取引と国際取引のリスクの違いが明確になり、非常に勉強になった。転職で入社したばかりなので初心者向けの講座は参加しやすく、今後も継続してほしい」との声が寄せられた。
個別相談会の様子(ジェトロ撮影)
(注)本事業は、国際サポネットNAGANO(長野県、中小企業基盤整備機構、日本政策金融公庫、長野県産業振興機構、長野県発明協会)の後援のもとで実施された。
(荒井慎哉)
(日本)
ビジネス短信 df0af6a2ec7a1110




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