ジェトロ、奈良県製薬協同組合とウズベキスタンにミッションを派遣

(日本、ウズベキスタン)

奈良発

2025年11月20日

ジェトロと奈良県製薬協同組合は114日から6日まで、ウズベキスタンのタシケントに医薬品やサプリメントなどの分野でのビジネス環境視察ミッションを派遣した。同国への販路拡大に向け、市場の可能性や販売に必要な規制などの情報獲得につながるミッションとなった。

初日は、ウズベキスタン企業8社とのネットワーキングを実施した。双方のプレゼンテーションや個社での商談が行われた。参加したウズベキスタン企業からは「配合成分などの面で魅力的な商品が多かった。機会があればさらに多くの商品を知るために、こちらから奈良の製薬企業を訪れたい」という声が聞かれた。その後、薬科大学や研究開発センターなどが集積するタシケントファーマパークを視察し、医薬品産業開発庁との意見交換を実施した。

同庁のアブドゥラ・アジゾフ長官は「私たちは日本の製品や技術を高く評価している。ウズベキスタンへの販路拡大に関心があれば、登録の相談や展示会の紹介などを通じてサポートしたい」と日本企業との連携に期待を表明した。同庁の規制対応担当者からは、日本の医薬品が簡易審査の対象であることなどについて説明があった。

写真 アジゾフ長官との面談(ジェトロ撮影)

アジゾフ長官との面談(ジェトロ撮影)

写真 (左)ネットワーキングの様子、(右)医薬品産業開発庁担当者との意見交換(ともにジェトロ撮影)

(左)ネットワーキングの様子、(右)医薬品産業開発庁担当者との意見交換(ともにジェトロ撮影)

2日目は、医療分野の主要展示会「ウズメドエキスポ」や現地ディストリビューターの倉庫および工場視察を実施。参加者は「普段訪れる機会がない生産工場の内部を見せてもらい、生産設備が充実していることを知ることができた」と話した。

写真 (左)展示会「ウズメドエキスポ」の視察、(右)現地ディストリビューターの倉庫見学(ともにジェトロ撮影)

(左)展示会「ウズメドエキスポ」の視察、(右)現地ディストリビューターの倉庫見学(ともにジェトロ撮影)

3日目は、現地弁護士事務所と現地の規制に関する意見交換や、薬局などを訪問して市場調査を実施した。参加者からは、「日本では医師の処方箋が必要な医療用医薬品が、ウズベキスタンでは店頭で購入できるため、OTC医薬品(注1)の需要調査が必要と感じた。国全体の勢いを知ることができたので、引き続きアプローチしていきたい」「日本で流通している医薬品が簡易審査の対象となっていることや、ウズベキスタンの真面目な国民性を知ることができたのは大きな成果」などの感想があった。

近年、国内医薬品市場の縮小に伴い、組合企業は新たな成長機会を求め、海外市場への展開に対する関心を高めている。海外への医薬品輸出には、相手国の規制や認可プロセスに関する正確な情報の把握が不可欠だが、日本からの情報収集には限界があるため、組合内での連携および情報共有の重要性が増している。

こうした背景のもと、ジェトロ奈良は2024年から、組合企業とともに海外に赴き、市場調査を行っている。

2025年度は、人口増加により潜在性が見込まれる医薬品市場を持つウズベキスタンに着目し、奈良県製薬協同組合企業6社(注2)からなるミッションを派遣した。

(注1)医師の処方箋なしでも、調剤薬局やドラッグストアなどで購入できる医薬品のこと。

(注2)新生薬品工業、大佛堂製薬、佐藤薬品工業、至誠堂製薬、田村薬品工業、大和合同製薬。

(奥田将太)

(日本、ウズベキスタン)

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