サンパウロで「中南米政治経済セミナー」を開催
(メキシコ、コロンビア、ペルー、アルゼンチン、ブラジル)
メキシコ発
2025年11月07日
ジェトロは10月30日、ブラジル日本商工会議所との共催により、サンパウロで「中南米政治経済セミナー」を開催した。中南米のジェトロ事務所長が一堂に会し、各国の政治・経済概況を基本としつつ、最新トピックについても解説した。リアル会場には約20人、オンラインでは約80人の計100人ほどが参加した。
メキシコ事務所の中島伸浩所長は、メキシコの基礎データを各国と比較しつつ、自動車産業を軸とした対米輸出のサプライチェーンを中心に、日系企業による対墨直接投資が行われていることを解説。トランプ関税によって戦略の再構築が求められるケースも出てきているが、米国向けサプライチェーンの深化は依然として続いているとした。
ボゴタ事務所の中山泰弘所長は、コロンビアの実質GDP成長率について、1932年以降マイナスを記録したのは2度のみで、安定した経済成長を示していることを紹介。現在、初の左派政権が誕生しているが、足元では不支持率が拡大。2026年5月の大統領選挙に向けて中道右派政党の候補が浮上してきている現状を解説した。
リマ事務所の石田達也所長は、ペルーの実質GDP成長率が一貫してプラス成長を達成してきた理由として、政権が頻繁に交代しても、常に財政規律を重視する経済財政省の存在と中央銀行の独立性維持を挙げた。これにより、財界としては政治に左右されず、安心してビジネスを行う環境が整っていることが大きいとした。また、2026年4月に予定されている大統領選挙には最多39人が立候補する見通しで、専門家も予想困難であるも、閣僚・中銀候補など周辺人物に着目するとよいと述べた。
ブエノスアイレス事務所の西澤雄介所長は、アルゼンチンの現ミレイ政権がインフレの抑制に心血を注ぎ、マクロ経済の安定に寄与してきたとした。2025年10月26日に行われた国会議員中間選挙の結果も現政権を支持しており、マーケットは好意的に受け止めたと解説した。
来場者アンケートでは、「中南米といっても一言では語れない。各国で事情が大きく異なることをあらためて知る良い機会となった」「選挙後のミレイ政権の動向に関心があったので大変参考になった」「今回取り上げられなかった南米の国に関しても経済状況、政治状況を知りたい」など、中南米各国への関心の高さがうかがえた。
セミナーで講演するリマ事務所の石田所長(ジェトロ撮影)
(中島伸浩)
(メキシコ、コロンビア、ペルー、アルゼンチン、ブラジル)
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