第3四半期のCPI上昇率、オーストラリアは前年同期比3.2%へ急上昇

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2025年11月06日

オーストラリア統計局(ABS)は10月29日、2025年第3四半期(7~9月)の消費者物価指数(CPI)の上昇率が、前年同期比3.2%と発表した(注)。前期の2.1%から上昇し、2024年第2四半期(4~6月)の3.8%以来の高水準となった。また、前期比では1.3%上昇で、前期の0.7%から加速した。

当期の上昇に寄与したのは、電気料金(前年同期比23.6%)だった。電気料金の上昇は、クイーンズランド州、西オーストラリア州、タスマニア州で実施されていた一律電気料金払い戻し策の終了に加え、年次見直しによる電気料金改定が主要因となった。また、食品と非アルコール飲料(同3.1%)も上昇した。食品は外食やテイクアウト食品の値上げが影響し、非アルコール飲料では、主要なコーヒー豆の海外サプライヤーからの供給減が物価上昇に反映された。

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は11月5日、政策金利を3.6%に据え置くと決定した。第3四半期のインフレ率が市場予測を大幅に上回り、利下げの可能性は低いとの見方に沿った結果となった。

ニュージーランドのCPI上昇率は前年同期比3.0%、3期連続上昇

ニュージーランド統計局は10月20日、2025年第3四半期のCPI上昇率が前年同期比3.0%と発表した。前期から0.3ポイント上昇し、3期連続の上昇となった。前期比は1.0%上昇で、前期の0.5%から加速した。前年同期比では、「2024年第2四半期の3.3%以来の高水準になった」と述べた。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)の目標圏内(1~3%)に5期連続で収まってはいるものの2%を超える高水準で推移し、目標圏内の上限に達した。

当期の上昇に寄与した項目は、電気料金(前年同期比11.3%)、地方自治体の税金(同8.8%)、家賃(同2.6%)だった。統計局は「電気料金の上昇率は、1980年代後半に行われた改革以来の最高水準で、1989年第1四半期の12.8%以来、最大の上昇率だった」と述べた。一方、医薬品(同10.6%減)、通信機器(同15.2%)は下落した。

(注)今回をもって、ABSは四半期CPIの発表を終了し、今後は月次CPIを公表する。

(山崎美樹)

(オーストラリア、ニュージーランド)

ビジネス短信 d36add26e5ea6d68