ヌエボレオン州にAIデータセンター投資10億ドル、AI関連イベントで発表

(メキシコ)

メキシコ発

2025年11月20日

メキシコのヌエボレオン州政府は1112日、同州に高性能コンピューティング・人工知能(AI)センターが設置されると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。メキシコ企業AI-GDCおよびシプレ・ホールディング(Cipre Holding)が主導するこのプロジェクトの投資総額は、今後10年間で10億ドルに上る見込み。センターの建設は2026年に開始され、2030年までに段階的に開発が進められる。州政府の公式発表によると、同プロジェクトには米国エヌビディア(NVIDIA)が技術パートナーとして参画し、GPU(画像処理装置)などの製品やインフラを提供する。

同州のサムエル・ガルシア知事は、「ヌエボレオン州はAI(人工知能)のハブになる。AI、自動化、グリーンエネルギーを中心とした『グリーン産業の新たなパラダイム』とともに、未来に前進する」と強調した。加えて、AI産業の発展を受け、同州に「投資・イノベーション・AI庁(Subsecretaría de Inversiones Innovación e Inteligencia Artificial)」を新設することも発表した。

官民におけるAI関連取り組みも活発化

今回の発表は、メキシコ企業家調整評議会(CCE)などが主催したAI・投資フォーラム「メキシコAIプラス(México IA+外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の場で行われた。このフォーラムは、国内のAIエコシステムを加速させるためのイベントで、政府、企業、スタートアップ、投資家などが参加した。

イベント開会に際して、CCEのフランシスコ・セルバンテス会頭は「AI関連の投資により、今後数年間でメキシコの年間対内直接投資は25%増加する可能性がある」と期待を寄せた。また、ロサウラ・ルイス科学人文技術イノベーション相は、AI技術による革命に取り残されないために、政府と民間の連携・調整が必要であると強調した。

写真 イベント「México IA+」開会式の様子(ジェトロ撮影)

イベント「México IA+」開会式の様子(ジェトロ撮影)

同イベント開催に先立つ11月6日、クラウディア・シェインバウム大統領は「公立人工知能人材育成センター」の始動を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。メキシコ公立工科大学機構(TecNM)傘下にある全国の工科大学のキャンパスでの対面学習と遠隔学習を組み合わせ、最終的に年間2万5,000人の卒業生輩出を目標に掲げるプロジェクトだ。大統領はAIを「開発の新たなインフラ」と位置づけており、産業界の需要に応じた人材供給体制の構築を急ぐ方針だ。メキシコの官民双方がAI関連の取り組みを強化する姿勢が鮮明になっている。

(深澤竜太)

(メキシコ)

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