ジェトロ、広東省東莞市政府との意見交換会を開催、企業の経営課題・市場開拓支援などに関心

(中国)

広州発

2025年11月06日

ジェトロおよび在広州日本総領事館は10月30日、中国・広東省東莞市で、現地進出日系企業のビジネス環境改善を目的に、東莞市政府との意見交換会を開催した。東莞市政府から劉光浜副市長および馮彬副秘書長が出席し、日本側からは貴島善子・駐広州総領事および日系企業の代表者らが出席した。

意見交換会では、全8項目の要望や質問が日系企業から提起され、それらについて同市政府の各関連部門と意見を交わした。

うち、都市計画問題では、日系企業から、同市の都市計画の調整に伴う用地用途の変更や都市再開発政策の影響により、企業移転が必要となる可能性が生じている。特に、長年にわたり改造計画に実質的な進展がないエリアについては、長期的な経営計画を立てることが困難であり、同市での事業継続に対する不安が高まっているとの指摘がなされた。これに対し、同市自然資源局は、都市計画の調整に際しては利害関係者への事前告知と結果の公告を行う制度が整備されていることを説明した。また、改造計画の進展がないと指摘のあったエリアを管轄する鎮政府は「現時点で短期的に改造が実施される可能性は低い」と回答。これに対し、劉副市長は「短期的に改造が実施されないという情報だけで、企業が計画を立てるのは難しい。各エリアの都市改造計画を整理した上で、企業に対してあらためて情報共有を行ってほしい」と指示した。

住宅積立金の追納問題では、ある日系企業が在職中の従業員に対して過去の未納分の住宅積立金の追納計画を進めたところ、離職した従業員も同市住宅積立金管理センターに対して追納の申し立てを行い、受理されていると状況を説明。過去十年以上にさかのぼって未納分を追納する場合、企業経営に重大な影響を与えるとして、個別の事情を踏まえた措置や、追納訴えの受領から追納完了まで期限延長を求めた。これに対し、同市住宅積立金管理センターは、現行法制度上、在職・離職の区別なく追納義務があること、また追納完了までの期限延長には法的根拠がないことを説明。一方で、同センターは退職者に対して企業と個別協議を行うよう促し、追納要求による企業の問題緩和に向けて尽力しているとした。

市場開拓支援では、日系企業から、中国国内市場開拓に向けた支援強化を求める声が上がった。これに対し、同市商務局は、日系企業を含む外資企業による国内市場の開拓支援に向けた各種措置を打ち出していると説明。日系企業連絡会議の定期的な実施による政府と企業間のコミュニケーション強化を図っているほか、展示会出展やEC販売など国内販売に向けた取り組みに対する補助金制度、商談会などを設けているとした。また、特にマッチング機会の創出に関しては、具体的な取り組みを今後さらに推進していく方針が示された。

(汪涵芷)

(中国)

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