カザフスタンのトカエフ大統領が訪ロ、2国間関係強化で合意
(カザフスタン、ロシア)
タシケント発
2025年11月20日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領が11月11日から12日にかけてロシアを公式訪問した。この訪問の結果、両国の国家間関係の水準を高める協定が締結され、運輸などの分野での協力も継続されることになった。
訪問中、トカエフ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、両国の関係を包括的戦略パートナーシップおよび同盟関係へと移行させる宣言に署名した。さらに、両国政府および関係組織間で13の協力文書に署名した。これには、2026年から2030年までの包括的な経済協力プログラムや、運輸、教育、原子力平和利用、特別経済区の各分野での協力が含まれている。
両国は、貿易額を300億ドルまで増やすことで一致した。首脳会談後のプーチン大統領の発言によると、2024年の両国間の貿易額は287億ドルに達した。これは、ウクライナ侵攻前の2021年の貿易額を12%上回る。また、同大統領は「2国間貿易での決済の96%が両国の自国通貨で行われており、これにより商業取引が外的要因の悪影響から守られている」と述べた。ただ、2025年1~8月の貿易額は前年同期比5.7%減となっている。ロシアへのカザフスタン産鉱物の供給が減少したためだ。
今回の訪問の結果、輸送分野において締結された協定は次のとおり。
- 鉄道輸送による第三国向け輸出貨物の輸送・積み替えに関する政府間協力協定
- 両国間接続地点の開発に関するロシア鉄道とカザフスタン鉄道間の協定
- ロシアとカザフスタンの両運輸省間の両国国境における自動車検問所の整備に関する行動計画
輸送分野での協力について、トカエフ大統領は首脳会談後の記者会見の中で、南北国際回廊を含むプロジェクトの可能性をさらに拡大することで合意したことを明らかにした。南北回廊の東支線はロシア、カザフスタンを経由し、トルクメニスタンとイランに至る。今回の訪問に先立つトカエフ大統領の発表によると、東支線の輸送能力を、5年間で年間2,000万トンまで引き上げる計画だ。2024年半ばの時点でその輸送能力は600万トンだった。
今回の一連の合意に関して、カザフスタンの政治学者エドゥアルド・ポレタエフ氏は、ロシアにとってカザフスタンの重要性が高まっている点を指摘した。理由として第1に、カザフスタンがアジア太平洋地域とロシアの中継地点に位置すること、第2にロシアに対する制裁が強まる中、カザフスタンのような同盟国の支援が特に重要になる点を挙げた(「カズインフォルム」11月11日)。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(カザフスタン、ロシア)
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