米ヒューストン市を含むハリス郡の長官らが来日、東京で投資サミット開催

(米国、日本)

海外ビジネスサポートセンターサステナブルビジネス課

2025年11月13日

ジェトロと米国テキサス州ヒューストン市の商工会議所「グレーター・ヒューストン・パートナーシップ(Greater Houston Partnership:GHP)」は10月31日、「ヒューストン・インベストメント・サミット(Houston Investment Summit)」を東京で開催した。

GHPはテキサス州ヒューストン市が所在するハリス郡を含む12郡を代表する、同市最大の商工会議所だ。本サミットは、ハリス郡のリナ・ヒダルゴ長官を代表とする代表団来日の機会を捉え、ジェトロ、ヒューストン・ファースト(注1)、ヒューストン日米協会の共催で実施された。本サミットには、同市の行政機関および航空・港湾やエネルギー関連会社などから26人と、日本企業関係者ら約50人が参加した。

ヒダルゴ長官によるハリス郡の説明では、同郡の強みは質の高い教育にあり、同郡に立地するライス大学、ヒューストン大学では、将来の労働力となる優秀な人材を育成していると説明した。また、同郡内にはヒューストン港のほか、世界最大級のメディカルセンター、米国航空宇宙局(NASA)など、必要なものは全てそろっており、米国でビジネスを始めるには最適の場所だと強調した。加えて、同郡の人口の25%は移民であり、同市内では米国南部最大規模の日本文化イベント「ジャパン・フェスティバル・ヒューストン」が開催されていることにも触れ、日本企業とその従業員は同郡の多様性への寛容さを実感するだろうと述べた。

写真 講演するハリス郡のリナ・ヒダルゴ長官(ジェトロ撮影)

講演するハリス郡のリナ・ヒダルゴ長官(ジェトロ撮影)

GHPのジョン・サイファー副社長(国際投資・貿易担当)は同市の魅力として、大都市でありながら低い生活コスト、高い賃金、直行便による日本へのアクセスの利便性、個人所得税および法人税が非課税であることを挙げた(注2)。さらに、2024年における同市と日本の貿易総額は約14億ドル、同市内へ投資した日本企業は110社に上ることに触れ、日本とのつながりをアピールした。また、特にライフサイエンス、航空宇宙、先進製造、デジタルテクノロジーの分野において、日本企業が同市に進出する際の調査、候補地の選定、パートナーの探索などの支援を積極的に行うと語った。

さらにサイファー氏は、同市においてスタートアップを含むIT企業の集積が進んでいることについて、ベンチャーキャピタル(VC)による投資額が10年前と比較して10倍の約40億ドルとなったことを紹介した。

加えて、ライス大学ジョーンズ・ビジネス・スクール学部長のピーター・ロドリゲス氏は、ヒューストンでは多様な分野でのイノベーションが創出されており、「テキサスでイノベーションといえばヒューストンだ」と語った。また、米国IT大手ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が2021年に約4,000人の従業員を伴ってカリフォルニア州から同地へ本社を移転した理由として、「同市の優秀な人材、生活の質、複数の成長産業およびキーステークホルダーへのアクセス機会が大きな要因だ」と述べた。

同サミット後は、両国の参加者で活発なネットワーキングが行われた。

写真 サミットおよびネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

サミットおよびネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

(注1)ヒューストン市の観光・コンベンション施設を運営し、都市の魅力を世界に発信する公営の法人。

(注2)連邦税が州税とは別に課税されるほか、同州ではフランチャイズ税や資産税などが課税される。

(石倉傑、中村智大)

(米国、日本)

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