日本発クライメートテック、米で存在感、データセンター電力需要が後押し
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2025年11月07日
米国カリフォルニア州サンノゼで開催された「Japan Climate Tech Showcase」に10月29日、日本のクリーンテック分野のディープテックスタートアップ10社が登壇した。イベントでは、核融合や、二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯蓄(CCUS)、バイオ、脱炭素化、再生可能技術の利用など幅広い分野の技術が紹介された。
クリーンテックへの注目は、人工知能(AI)データセンターの電力需要拡大と、それを契機としたクリーンエネルギー投資の再加速があると報道されている。ブルームバーグによると、クリーンエネルギー関連株指数は2025年初から約50%上昇しており、トランプ米政権下で再エネ支援策が縮小する中でも、AI関連電力需要と民間資金の流入が市場を牽引している(ブルームバーグ11月2日付)。
(左)オープニングセッション、(中)登壇者たち、(右)登壇の様子(全てジェトロ撮影)
こうした潮流の中、サンノゼのショーケースでは、ヘリカル・フュージョン
のヘリカル型核融合発電や、ライノフラックス
の非燃焼型・高効率バイオマス発電、Eサーモジェンテック
の廃熱回収・熱エネルギーの電力変換など、次世代エネルギー技術に注目が集まった。
また、アティエラ
(微細藻類を利用したCCUS型持続可能な航空燃料、SAF原料生産)、プラネット・セーバーズ
(高性能ゼオライト吸着剤によるCO2の直接回収、DAC)、サン・メタロン
(金属廃棄物を高価値な資源ドライブリケットに変換)、エマルジョンフロー・テクノロジーズ
〔レアメタル回収・有機フッ素化合物(PFAS)除去〕など、再生可能技術やサステナビリティーの分野で注目を集めるスタートアップも登壇した。
半導体分野では、エレファンテック
がインクジェット印刷技術による低環境負荷型プリント基盤製造を発表した。バイオ分野では、光による精密な細胞制御技術を応用し、環境負荷の少ない化学製品・素材を生産するミーバイオ
や、海藻加工技術を用いて食品や代替プラスチックを開発するアクアテオン
なども関心を集めた。
AIデータセンターの電力需要を契機に、民間主導のクリーンテック投資が再び活況を呈する米国市場で、日本発ディープテックが新たな存在感を示している。
(松井美樹)
(米国、日本)
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