1~9月の貿易総額は2兆リンギ超、過去最高を記録

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年11月12日

マレーシア統計局は10月28日、2025年1~9月の貿易総額が前年同期比4.4%増の2兆2,345億リンギ(約82兆6,765億円、1リンギ=約37円)で、1~9月までの金額としては2年連続で過去最高を記録したと発表した(添付資料表1参照)。輸出額は1兆1,701億リンギ、輸入額は1兆644億リンギで、それぞれ4.8%、4.0%増加した。貿易収支黒字は13.6%増の1,057億リンギだった。

輸出を品目別にみると、電気・電子製品が前年同期比16.7%増の5,121億リンギだった(添付資料表2参照)。同品目の半分を占める集積回路が22.6%増の2,784億リンギだ。次いで、パーム油・同製品、専門・科学・制御機器および装置も堅調に増加した。一方、精製石油製品、液化天然ガス(LNG)は、それぞれ22.4%減、15.9%減となり、前年同期から減少が続いた。

輸入では、電気・電子製品が22.2%増の4,065億リンギだった。また、特定産業・部品用の機械および装置、測定・検査・分析・制御ツールおよび機器も増加した一方、精製石油製品、原油はそれぞれ27.9%、12.3%減少した。

国・地域別にみると、輸出では、シンガポールが1,870億リンギで、引き続き最大の輸出相手国だった(添付資料表3参照)。米国、中国、香港、台湾が続いた。マレーシア貿易開発公社(MATRADE)によると、対中輸出はLNG、化学製品、金属製品などの需要減により、前年同期比0.6%減となった一方、対米輸出は電気・電子製品、加工食品、機械・設備・部品などの需要増により、18.2%増加した。

輸入では、中国が2,494億リンギで首位となり、これにシンガポール、台湾、米国、日本が続いた。

四半期ごとの輸出増減率への寄与度を国・地域別にみると、日本のみが引き続きマイナスだったのに対し、ASEANや中国の寄与度がプラスに転じた(添付資料図参照)。

マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所は2025年の輸出入の伸び率について、それぞれ2.0%(輸出)、4.5%(輸入)との前回予測を据え置いた。米国による関税導入を背景に、世界貿易環境が依然として厳しいとの見方を反映したものだ。また、MIDFは鉱業関連輸出の不振継続が輸出の伸びを抑える要因になるとも指摘した。こうした懸念がある一方、電気・電子製品に関しては、世界的な技術サイクルの好転を背景に、輸出が堅調に推移するとの前向きな見通しも示した。

(戴可炘)

(マレーシア)

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