タイ政府が高度専門職育成と企業の競争力強化に関する施策を承認

(タイ)

バンコク発

2025年11月17日

タイ投資委員会(BOI)が事務局を務めるタイのターゲット産業国家競争力強化政策委員会(委員長:アヌティン・チャーンウィラクン首相)は11月6日、「次世代産業の高度専門職育成策」と「タイ企業競争力強化支援策」の2つの措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを承認した。

〇次世代産業の高度専門職育成策

本施策は、国の戦略的発展に不可欠な対象産業で求められるスキル要件の変化に対応するため、大学生3万人と労働者7万人の合計10万人以上を対象とする。具体的には、これら人材のスキルアップやリスキリングなどを通じて次世代産業の需要に応え、製造業・サービス業における新技術への適応力強化を支援するため、大学や訓練機関に対して助成する。

農業・バイオテクノロジー、高付加価値食品加工、バイオ燃料・バイオケミカル、次世代自動車、先端エレクトロニクス、ロボット工学、デジタル技術、ヘルスケア、防衛、グリーン産業など、国家的に重要なすべての関連産業が対象となる。

本施策に基づく研修プログラムは、技術競争力の強化に寄与する新技術や高度な知識に適合するブートキャンプ、オンサイトおよびオンライン研修、インターンシップなどのプログラムであることが必要。カリキュラム開発や評価システム管理などの必要な研修費用も支援の対象だが、研修形式によって支援限度額が決定される。

助成を求める団体は、2026年1月までに申請し、承認日から6カ月以内にトレーニングを完了する必要がある。

〇タイ企業競争力強化支援策

本支援策では、タイ企業の効率性向上と競争力強化のため、(1)自動化やデジタル技術などの最新技術を用いた効率性向上、(2)研究開発、(3)新産業およびグリーン産業への転換の3つの主要分野にて、投資額と経費の30~50%に対して、1億バーツ(約4億7,000万円、1バーツ=約4.7円)を限度に、資金が提供される。

支援対象企業は、農業、食品、バイオテクノロジー、医薬品、自動車、エレクトロニクス、自動化・ロボット工学、防衛の各産業における、タイ資本51%以上を保有する法人で、最低5,000万バーツの投資が必要(中小企業振興局の「SME ONE IDプログラム、注」に登録されている中小企業は2,000万バーツ)。

2026年1月までに申請し、承認日から12カ月以内に完了する必要がある。

また、資金は企業の投資後に支払われるため、BOIはタイ銀行協会と協力して特別金利のつなぎ融資を設計し、企業の流動性を高めることとしている。

ナリット・タードサティーラックBOI長官は「タイ企業の競争力を強化することで、国内サプライチェーンの連携が強化され、投資量の増加につながる可能性がある」と述べた。

(注)中小企業が単一のIDを使用し、中小企業向け支援のほかさまざまな政府サービスにアクセスできるようにする制度。

(野田芳美)

(タイ)

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