中南米最大級コンテンツ商談会「MIP Cancun」開催、47カ国から800超の事業者が参加

(メキシコ)

メキシコ発

2025年11月28日

中南米最大級のコンテンツ商談会・ネットワーキングイベント「MIP Cancun」が11月18~21日、メキシコ・カンクンで開催された。中南米市場における映像コンテンツやテレビ番組フォーマットの売買、共同制作、資金調達などを目的に、47カ国から800以上の事業者が参加し、バイヤー数は約250人に上った。メキシコ、アルゼンチン、コスタリカ、タイ、韓国、スペイン、イタリアはナショナルパビリオンを設置し、自国コンテンツやロケ地としての魅力をPRするなど、国際的な広がりを見せた。

写真 オープンブースに出展するナショナルパビリオン(ジェトロ撮影)

オープンブースに出展するナショナルパビリオン(ジェトロ撮影)

本イベントの特徴は、1対1の個別商談を重視したレイアウトにある。ディストリビューションルームでは、各社の固定テーブルが設置され、完成作品をバイヤーに紹介。商談は事前に主催者のオンラインプラットフォーム上で予約し、会期中に実施する仕組みだ。同ルームには、メキシコの大手メディアのTV アステカ(TV Azteca)や世界最大のスペイン語メディアであるテレビサ・ユニビジョン(TelevisaUnivision)を含む、120以上のディストリビューターが参加した。日本企業では、アニプレックス、東映アニメーション、関西テレビ放送、毎日放送、読売テレビ放送がテーブルを持った。

共同制作ルーム(Co-Production Room)は、開発中のプロジェクトを持つプロデューサーや資金提供を検討するコミッショナー向けに設置され、個別商談が可能となっていた。さらに、事前に商談を組めなかった参加者も、会期中にオンラインプラットフォームを通じてミーティングを申し込み、オープン商談スペース(Free Flow Lounge)で商談を実施できる仕組みとなっていた。

期間中は、コンテンツ業界の最新動向をテーマにしたさまざまなセッションも設けられた。AVOD(注1)やFAST(注2)、スマートフォンの縦画面に合わせて制作された短尺ドラマ「マイクロドラマ(Microdrama)」など新しいコンテンツ形態に関するセミナーが多数実施された。そのほか、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)やブラジルのメディア複合企業グローボ(Globo)は、テレビドラマやバラエティ映像を上映し、積極的なプロモーションを展開した。

参加者からは、「日本のドラマは、長期シリーズ化に適した普遍的テーマを有しており、市場性が見込める」「日本のアニメは地上波放送を通じて長年メキシコに浸透してきたため、国民にとって受容性が高い」など、中南米における日本産コンテンツの関心高まりを示す声が寄せられた。

次回のMIP Cancunは、2026年11月17~20日に開催予定。

写真 ディストリビューションルーム内の個別商談の様子(ジェトロ撮影)

ディストリビューションルーム内の個別商談の様子(ジェトロ撮影)

写真 セッション会場の様子(ジェトロ撮影)

セッション会場の様子(ジェトロ撮影)

(注1)オンデマンドで番組の視聴が可能な広告付きのストリーミングサービス(Advertising Video On Demand)の略。

(注2)広告付き無料ストリーミングサービス(Free Ad-supported Streaming TV)の略。従来のテレビ放送と同様、現在放映している番組をリアルタイムで視聴できることが特徴で、AVODとは区別される。

(山中真菜、南智恵美)

(メキシコ)

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