米カリフォルニア州知事、トランプ政権不在のCOP30で気候変動対策のリーダーシップを強調
(米国、ブラジル、コロンビア、チリ、ナイジェリア)
ロサンゼルス発
2025年11月20日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は、ブラジルで開催中の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)において、気候変動対策が21世紀最大の経済的機会の1つであることを強調し、イノベーションと気候変動対策に関する国際協力を加速させている。ドナルド・トランプ大統領はじめ連邦政府が主要高官をCOP30に派遣しない中で、ニューサム知事は「トランプ大統領による無謀なエネルギー政策は、中国を最優先し、米国を後回しにしており、中国が世界のクリーンエネルギー経済とそれに伴う高賃金の雇用、製造業、経済的繁栄を掌握するのを許している」と批判。「カリフォルニア州は傍観するつもりはなく、トランプ大統領が失敗している一方で、カリフォルニア州はクリーンエネルギー経済を主導している」と主張した。
カリフォルニア州は2000年以降、温室効果ガス排出量を21%削減している一方で、同期間のGDPは81%増加し、同州を1国として見た場合に、日本を上回る世界4位の経済大国となっている。2023年には、州の電力供給の3分の2がクリーンエネルギーで賄われたとされる。こうした中で、ニューサム知事のほか、同州天然資源庁長官、食糧農業局長官、大気資源局長らが今回のCOP30に参加した。
ニューサム知事は期間中、シンポジウムへの登壇や、世界各国の関係者との会談とともに、アマゾン地域まで赴き、地域住民と面会するなど積極的な活動を行った。また、コロンビア、チリ、ナイジェリアとそれぞれ覚書(MOU)を締結するなど、連邦政府が気候変動対策で主導権を握れない中、各国が信頼できるパートナーとしての同州の地位強化に動いた。
11月12日の米メディア大手CNNの報道によると、こうしたニューサム知事の一連の動きに対して、ホワイトハウス報道官のテイラー・ロジャーズ氏は「ニューサム知事は、カリフォルニア州民が全米で最も高いエネルギー価格を支払っているにもかかわらず、わざわざブラジルまで飛んで宣伝しており、これは恥ずべきこと。トランプ大統領は、グリーンエネルギー詐欺によって米国民にとっての最善の利益が危険にさらされることを許さない。こうしたグリーンドリームはほかの国々を破滅させているが、トランプ大統領の常識的なエネルギー政策のおかげで、私たちの国は破滅することはないだろう」とコメントした。
(堀永卓弘)
(米国、ブラジル、コロンビア、チリ、ナイジェリア)
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