ジャパニーズ・オープンイノベーション・ハブがリバースピッチイベントを開催

(米国)

ニューヨーク発

2025年11月06日

米国ボストン市の日本企業のオープンイノベーションを促進するコンソーシアム、ジャパニーズ・オープンイノベーション・ハブ・イン・ボストン(Japanese Open Innovation Hub in Boston)は10月27日、同市に拠点を置くアクセラレーターのマスチャレンジ(MassChallenge)において、ジャパン-ボストン・イノベーション・ブリッジ(Japan-Boston Innovation Bridge)を開催した。

本イベントは、10月27日から31日にかけてマサチューセッツ州ボストンで行われたタフ・テック・ウィーク(Tough Tech Week外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の開催期間に合わせて、米国でテックスカウティングを行う日本企業との連携協業に関するリバースピッチとパネルディスカッションを実施するもの。同イベントには三菱商事、三菱電機、三菱重工業、住友化学、住友重機械、JERA、IHI、千代田化工建設など、ジャパニーズ・オープンイノベーション・ハブ・イン・ボストンに参加する企業に加え、スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)などから計120人ほどが参加した。

イベントの冒頭では、マスチャレンジからボストンのエコシステムの重要性が強調された。マスチャレンジによると、同アクセラレーターはこれまで、(1)エコシステムの形成、(2)エコシステムの改善、(3)産業軸を絞った取り組みなどを通じ、5,000社以上のスタートアップを支援してきた。在ボストン日本総領事館の高橋誠一郎総領事によるあいさつに続き、ジェトロからは日本市場の魅力、日本のスタートアップエコシステム、日本政府のスタートアップ支援について説明を行った。また、日本企業と米国のスタートアップ企業の国際連携協業を支援する枠組み「J-Bridge」(注1)について説明するとともに、ビザの緩和や税制優遇などの日本政府によるスタートアップエコシステムの強化を目的とした18項目の施策の概要を示した。

リバースピッチとパネルディスカッションでは、参加した日本企業がスタートアップとの連携協業に関する具体的な取り組みを紹介した。三菱重工は、特にネットゼロの達成に向けた技術の探索を行っていること、米国スタートアップの0を1にする力と日本企業のスケールする能力を掛け合わせ、イノベーションを生むことの重要性に言及した。また、三菱電機は、スタートアップとの連携や投資判断には、単に技術や製品だけでなく、信頼の醸成が不可欠であることを語った。特に「タフ・テック(注2)」は拡大するのに時間を要する分野であるため、より投資家とスタートアップの間の信頼関係が重要だという意見も出た。

写真 イベント会場の様子(ジェトロ撮影)

イベント会場の様子(ジェトロ撮影)

ボストンには、大学を中心とするヘルスケアやロボット、クリーンテック分野の最先端のエコシステムが数多く存在する。日本企業の成長にとって不可欠なオープンイノベーションを推進するためにも、今後も同地のスタートアップとの新たな連携が期待される。

(注1)日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出を目的としたビジネスプラットフォーム。詳細はジェトロのウェブサイトを参照。

(注2)タフ・テック・ウィークを開催するジ・エンジンによると、社会を変える力を持つ科学・工学・起業家精神の融合によって、気候変動や健康などの課題を持続可能に解決しようとする技術のこと。収益を得るまでに必要な投資コストが高い傾向にある。

(遠藤壮一郎)

(米国)

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