米西海岸の10月の貨物量は堅調も引き続き関税の影響懸念

(米国)

ロサンゼルス発

2025年11月26日

米国最大の貨物取扱量を誇るロサンゼルス港は11月18日、2025年10月の貨物取扱量(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。10月の同港での貨物取扱量は84万8,431TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、前年同月比で6%減少したものの、同港は2025年の貿易に関する不安定さを考慮すると堅調な実績、と評価している。2025年に入ってからの10カ月間でみると前年同期比2%増加となっている。

こうした中で、同港のジーン・セロカ事務局長は、小売業と製造業の在庫は十分に確保されているため補充の必要性が低くなっているとして、11月、12月の貨物量については、荷主が関税対策として予定より早く貨物を搬入していた2024年と比較して減少すると予想している。2026年の見通しについては、「デーリー・ブリーズ」紙(電子版11月18日)によると、「関税政策に関する発表はそれほど多くないと考えられ、少し安定するかもしれない」と述べている。また、各業界の状況について、好調に推移している事業がある一方で、経済成長が鈍化している事業もあると評し、例えば、ファストフードチェーンのマクドナルドは、コスト上昇と消費者需要の低下によって非常に大きな打撃を受けたと分析している。

米国で貨物取扱量が2番目に多く、ロサンゼルス港に隣接するロングビーチ港は11月7日に10月の貨物取扱量を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。10月の貨物取扱量は83万9,671TEUとなり、前年同月比で14.9%減少したものの、2025年に入ってからの10カ月間では前年同期比で4.1%増加となっている。

同港のマリオ・コルデロ最高経営責任者(CEO)は貿易政策の変化が消費者とサプライチェーンに不確実性をもたらしているものの、貨物の動きは引き続き順調だと述べた。これまでのところ、メーカー、小売業者などが関税コストの一部を負担し、消費者への価格転嫁を抑制してきたため、消費者は関税による大きな影響を被っていないとの見解を示した。他方で、「2026年が近づくにつれて状況は変化する可能性がある。荷主が関税コストを転嫁し続け、消費者への転嫁率がさらに高まることで、今後数カ月で消費者は価格上昇を実感する可能性が高い」と懸念も述べている。

(注)貨物輸入量と貨物輸出量、空コンテナ取扱量の合計値。

(堀永卓弘)

(米国)

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