S&Pがトルコ経済や2026年末のインフレ率予測を発表

(トルコ)

イスタンブール発

2025年11月19日

S&Pグローバル・レーティングは11月12日、トルコ経済の見通しなどを発表した。インフレ対策が焦点になるとし、現在の長期信用格付けは「BB-」で、ドル預金への回帰や国内のドル需要など考慮すべき点は残るものの、見通しは安定しているとした。また、トルコのメフメト・シムシェキ国庫・財務相の金融政策と財政政策について、地震関連以外の支出制限に真剣に取り組んでいると同時に、付加価値税(VAT)の徴収も好調で、財政面における明るい見通しの要素は主に歳入面にあると評価している。

一方、トルコ中央銀行が発表した2026年末のインフレ目標は16%だが、S&Pグローバル・レーティングは20%と予測した。2026年のインフレ率を現在の水準から半減させるためには、財政政策のさらなる引き締めが必要で、現在の金利や外貨抑制だけでは十分ではないと指摘している。また、次回のトルコ評価を2026年春に行う可能性を示唆した。

トルコ中央銀行は2025年10月23日開催の金融政策会議で、政策金利である1週間物レポ金利を40.5%から39.5%に引き下げることを決定した(添付資料表1参照)。また、翌日物貸出金利を43.5%から42.5%に、翌日物借入金利を39%から38%に引き下げた。インフレ動向について、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月比3.23%、前年同月比33.29%だったとした。アルコール・たばこ・金およびサービス部門の前年同月比寄与度はそれぞれ0.18ポイント、0.13ポイント低下。食品やノンアルコール飲料およびエネルギー部門の前年同月比寄与度はそれぞれ0.63ポイント、0.02ポイント低下した。最も上昇率が大きかったのは食品やノンアルコール飲料の前月比4.62%で、食品価格の上昇がCPI上昇率を押し上げたとしている。

なお、トルコ統計機構(TUIK)が11月3日に発表した10月のCPI上昇率は、前月比2.55%、前年同月比32.87%だった(添付資料表2参照)。

(井口南)

(トルコ)

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