三菱ガス化学が低炭素メタノールの売買契約を締結

(メキシコ、日本)

調査部米州課

2025年11月07日

三菱ガス化学(本社:東京都千代田区)は11月6日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国のトランジション・インダストリーズ(Transition Industries、TI)と、メキシコ湾岸で製造される低炭素メタノールの売買契約締結を発表した。TIはシナロア州北西部のトポロバンポで「パシフィコ・メキシノール・プロジェクト(Pacifico Mexinol Project)」と呼ばれる低炭素メタノールの製造プロジェクトを展開しており、年間でグリーンメタノール35万トン、ブルーメタノール180万トンを製造することを目指している。三菱ガス化学は2029年から年間約100万トン規模の低炭素メタノールの引き取りを予定しており、同プロジェクトにとって初の大規模かつ長期的な供給契約となる。

シナロア州には米国からの天然ガスパイプラインが通っており、供給された天然ガスからメタノールを生成し、発生する二酸化炭素(CO2)を回収することで、環境負荷の少ないブルーメタノールの生産を実現する。一方のグリーンメタノールは、イタリア・アルゼンチンのテチント(Techint)とドイツのシーメンス(Siemens)が製造するグリーン水素を利用して生産する。こうした低炭素メタノールは大型船の燃料の脱炭素化などへの活用が期待されており、三菱ガス化学は「燃料用途に加え、各種化学品など幅広い用途に供給する」としている。

TIのロメル・ガロ最高経営責任者(CEO)は「三菱ガス化学と協力し、気候変動への対応という共通のゴールに向けて、太平洋地域市場へ低炭素メタノールを供給できることを誇りに思う」と述べ、今後も低炭素化学製品の普及に取り組んでいくとした。三菱ガス化学の内藤昌彦C1ケミカル事業部長は「低炭素メタノールの安定供給を実現することで、脱炭素化と持続可能な社会への移行に貢献する」とコメントした。

(加藤遥平)

(メキシコ、日本)

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