デンマーク政府、2035年に向けた国家気候目標を発表

(デンマーク)

デュッセルドルフ発

2025年11月27日

デンマーク政府は11月17日、2035年に1990年比で82~85%の温室効果ガス(GHG)排出削減を目指す新たな中期目標を設定・提示した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この目標設定は、同国が長期設定している2045年までのカーボンニュートラル、2050年までの110%減のカーボンネガティブ(注)達成に向けた明確な道筋と位置づけた。

11月10~22日にブラジルのベレンで開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に出席したラース・オーガード気候・エネルギー・公益事業相は、混乱する昨今の国際情勢の中においても、気候変動対策を最優先の国際課題に掲げる必要性を強調するとともに、これまでの気候変動対策がもたらした洞察を今回設定した新たな目標値に生かしていくとした。

デンマーク政府は、82%のGHG削減目標達成に向けて年間40億デンマーク・クローネ(約960億円、DKK、1DKK=約24円)を拠出する予定としている。今後、関係者との協議を開始し、目標値を精緻化していく。

世界各国の気候変動対策への取り組みに陰りが見え始めている昨今の情勢の中、デンマークは同分野を主導する立場を維持している。オーガード氏は、野心的な気候目標と競争力のあるビジネス環境の両立可能性と気候変動対策の重要性をあらためて強調し、国際社会の結束を訴えた。

(注)GHGの排出量が森林などに吸収される量よりも少ない状態のこと。ネットゼロを超えて、1990年時点排出量の10%分を回収・貯留、国際的な炭素オフセットなどで削減させる。

(安岡美佳)

(デンマーク)