小売り大手ファラベラの格付けを投資適格に引き上げ、従来型ショッピングセンターは回復基調

(チリ)

サンティアゴ発

2025年11月05日

大手格付け会社フィッチ・レーティングスは10月29日、チリの大手小売企業ファラベラの発行体格付けを「BBB-」に引き上げた。ファラベラは2023年11月に「BB+」へ格下げとなり「投資不適格」とされていたが、今回再び投資適格水準に復帰した。

フィッチは、格上げの背景として同社の財務状況の改善を挙げ、債務削減、コスト効率化、中核事業への集中、金融サービス部門からの高配当などを主な要因と説明している。直近のファラベラの業績としては、2025年上半期(1~6月)で前年同期比3.2倍の5億9,600万ドルの利益を計上している。フィッチはまた、チリの小売業界がEC(電子商取引)専業事業者の多数参入により極めて競争の激しい環境にあるとしながらも、ファラベラが戦略的に市場拡大に取り組み、業績を上げている点を評価。財務面・運営面を強化すれば、厳しい小売市場でもシェアを維持できるとの見方を示している。

チリ国内の小売業界では、パンデミック後にオンライン販売が急拡大した一方、従来型ショッピングセンターも回復基調にある。主要3社の2025年第2四半期(4~6月)のテナント入居率はセンコ・モールス98.5%、パルケ・アラウコ96.4%、モールプラサ95.7%といずれも高水準を維持。また、同四半期のテナント売上高は前年同期比でモールプラサ24.2%増、パルケ・アラウコ13.1%増、センコ・モールス5.6%増と、いずれもプラス成長を示している。さらに、各社は商業施設に住宅やオフィスを組み込む「複合開発」戦略を加速しており、モールを生活空間と一体化する動きが顕著だ。

ファラベラの格付け改善は、こうした業界全体の回復基調と軌を一にするものといえる。

(高橋英行)

(チリ)

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