山東省、省レベルでは全国初の「低空情報インフラ特別規画」発表
(中国)
青島発
2025年11月18日
中国の山東省通信管理局などは10月27日、「山東省低空情報インフラ特別規画
」を発表した。それによると、同規画は全国初の省レベルの低空情報インフラ規画で、低空通信ネットワークの構築を実現し、通信、ナビゲーション、モニタリング能力を備えた低空情報インフラの建設を推進することで、低空経済(注1)の質の高い発展を支えることを目的としている。
規画の説明によると、同省では現在、低空インフラが既に一定程度整備されており、22カ所の一般空港、524カ所のドローン発着場、4,100基以上の通信・ナビゲーション・モニタリング施設が稼働している。また、医療救急や観光、物流、都市管理など多様な分野で応用が進んでいる。
一方、規画では課題として、現在の地上通信インフラによる空域のカバー能力には限界があり、低空飛行に必要な連続で安定した通信が確保できないことや、一部のエリアではネットワーク混雑、信号干渉などが存在することを指摘している。
こうした課題に対応するため、今回の規画では次のとおり、段階的な目標を設定している。
- 2027年末までに低空航路が山東省の主要都市の済南市、青島市全域をカバーするようにする。低空飛行運航企業にナビゲーション、航路計画、リスク警報などの情報サービスを提供する。
- 2030年末までに同省全域で低空通信ネットワークの継続的なカバーを実現し、有人ドローン航路の全シーンでの相互接続を達成する。通信・ナビゲーション・モニタリング・気象データを統合し、省レベルの低空飛行管理サービスプラットフォームの運行をサポートする。
また、規画では、次の重点施策を掲げている。
- 低空通信ネットワークのカバーの強化:5G-A(注2)基地局の建設を加速し、第6世代移動通信システム(6G)技術の実証と商用化を推進。
- ナビゲーション精度の向上:複雑な環境下でのナビゲーション信号の耐妨害性能を向上。
- モニタリング能力の強化:リアルタイムでの飛行モニタリング体制を整備、低空経済の安全運航を支援。
- 応用分野の拡大:農業、工事、気象、森林消防、海上救助、物流、観光などの分野で革新的な活用を促進。
特に物流分野では、済南市や青島市などでドローン配送航路の整備が進められており、「無人機+無人車両+無人倉庫」によるスマート物流モデルの構築を模索する。また、農業分野では、ドローンを活用した農薬、肥料、種子の精密散布によって作業効率を高め、農薬使用量の削減を実現するとしている。さらに、宇宙と空中、地上のモニタリングネットワークを連動させ、作物の生育状況や土壌中の水分の変化をリアルタイムで把握し、データに基づく精密な施肥指導を可能にすることも盛り込んでいる。
(注1)空飛ぶクルマやドローンなどの手段を用いて、低空飛行による乗客・貨物輸送を事業化し、社会変革をもたらす活動を指す。
(注2)5G-Aとは、現在主流の5Gをさらに進化させた次世代通信規格で、より高速・低遅延・高信頼な通信を可能にする。
(董玥涵)
(中国)
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