クールジャパン機構、ベトナムのアパレル・スタートアップに出資
(ベトナム、日本、アジア、ASEAN)
ホーチミン発
2025年11月17日
海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は11月7日、ベトナム発のアパレルブランドを展開するスタートアップ企業クールメート(Coolmate)への1,000万ドルの出資を発表した。
Coolmateは、2019年に設立されたベトナム発のアパレル製造・販売のスタートアップ企業で、店舗を持たず、DtoC(Direct to Consumer、注1)型で各ECプラットフォームを通じて自社ブランド製品を販売する。手頃な価格でありながら、速乾、冷感、抗菌、伸縮性、紫外線カットなどの機能を備えた男性向け/女性向けのインナーウェアやアクティブウェアなどの商品を手掛けていることが特徴だ。
出資により日本のコンテンツIPの海外需要開拓への貢献を狙う
クールジャパン機構のプレスリリースによると、Coolmateは現在、日本のアニメ・漫画キャラクターなどの知的財産(IP)を扱う現地ディストリビューターと公式商品の開発・製造・販売を行うことを企図している。本出資により、同社が現地ディストリビューターと公式商品を開発し、ベトナムを中心とした海外市場で販売することを通じて、日本のアニメ・漫画キャラクターなどのIPの海外需要開拓やファン層の拡大、模倣品の抑止に貢献するとしている。
Coolmateは調達資金で米国・東南アジアなどの海外展開へ
Coolmateは先行して11月3日、自社のウェブサイトで今回の資金調達について発表している。シンガポールの政府系投資会社テマセク傘下のグループ企業であるバーテックスグロース(Vertex Growth)が主導し、クールジャパン機構を含む複数投資家からシリーズCラウンド(注2)での資金調達に成功した旨を発表。今回の資金調達で次の3つの戦略を拡大させるとした。
- Go Women(女性顧客層の拡大):2025年3月に女性用スポーツウェアを発売し、急成長が予想される女性向けスポーツウェア市場の需要に対応、2030年に収益シェアの40%が女性向け製品となることを目指す。
- Go Offline(実店舗展開):顧客に製品を直接体験してもらう場を提供することを狙い、2025年12月末に第1号店をオープン予定。2030年までにオフライン販売で売上高の40%を目指す。
- Go Global(国際展開):ベトナム発ブランドとして世界市場へ進出。2025年には米国でのアマゾンで、スポーツソックスの販売を展開。米国のほか、東南アジアを中心に2030年までに海外売上高の50%を目指す。
(注1)DtoCとは、メーカーやブランドがウェブサイトなどを通じて消費者へ直接販売する形態を指す。
(注2)スタートアップに対する投資ラウンドの1つの段階のことであり、シリーズBに続く資金調達ラウンドを指す。一般的には、黒字経営を安定的に継続できるようになり、IPO(新規株式公開)やM&Aなど自社に適したイグジットを検討し始める段階とされている。
(三木貴博)
(ベトナム、日本、アジア、ASEAN)
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