モンテネグロ首相と日系企業の意見交換会、ロンドンで開催

(モンテネグロ、日本、英国)

ロンドン発

2025年11月05日

在英国日本大使館およびジェトロは10月21日、ロンドンでモンテネグロのミロイコ・スパイッチ首相と日系企業との意見交換会を開催した。鈴木浩・駐英日本大使のほか、欧州に拠点を置く日本企業の代表者が参加し、首相を囲んで対話が行われた。

スパイッチ首相はかつて日本に留学した経験を持ち、冒頭では日本語であいさつを行った。これを受けて、鈴木大使は「日本で学んだ方が、母国モンテネグロの首相として活躍されていることは、日本にとっても、また日・モンテネグロ関係の一層の発展にとっても非常に意義深い」と首相との会合を歓迎した。

スパイッチ首相は、同国の地理的優位性として、主要港湾が東欧と接続する重要な物流拠点であることを強調。また、多民族国家として、外国人が暮らしやすい環境が整っている点や、小規模国家ならではの制度改革での柔軟性、バルカン諸国との良好な関係を同国の魅力として紹介した。

また、モンテネグロが2026年末までにEU加盟交渉を完了し、2028年の加盟を目指していることにも言及。同国は加盟候補国の中で国民1人当たりの所得が最高水準で、EU加盟国への大規模な移住の懸念も少ないことから、「EUにとっても受け入れやすい国」として評価されていると述べた。加えて、欧州内でも低水準にある税制を維持しつつ、法人税や所得税のさらなる軽減を目指す一方で、付加価値税(VAT)は欧州の制度に準じて運用を続ける考えを示した。

マイダ・アジェビッチ公共事業相は、同国でインフラ整備が加速する中、信頼できる日本企業のパートナーを求めていると述べた。エネルギー分野では発電能力の拡充、廃棄物発電を含む事業計画、交通分野では600キロメートル超の道路整備および港湾開発が予定されている。当日は日系企業による自社紹介が行われ、参加した日系企業からは、「将来的に、モンテネグロでの拠点開設を検討していきたい」「エネルギー分野でのビジネス機会に関心を持っている」などのコメントもあり、活発な意見交換が行われた。

写真 当日の様子(ジェトロ撮影)

当日の様子(ジェトロ撮影)

(植松麗良)

(モンテネグロ、日本、英国)

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