サンルイスポトシ州、日本に代表事務所を開設

(メキシコ、日本)

調査部米州課

2025年11月18日

メキシコ中央高原にあるサンルイスポトシ州政府は94日、投資誘致や輸出促進などを目的に、メキシコの州としては日本で唯一となる代表事務所を東京都港区に開設した。同州は日本からの直接投資額が最も大きい州の1つで(注)、空調機器大手のダイキン工業や自動車部品サプライヤーなどの日本企業も多数進出している。同事務所のロドルフォ・ゴンザレス代表とマーケティング・PR担当の土屋文孝氏に、事務所開設の目的や今後の展望について聞いた(取材日:1113日)。

写真 サンルイスポトシ州代表事務所のゴンザレス代表(右)と土屋氏(ジェトロ撮影)

サンルイスポトシ州代表事務所のゴンザレス代表(右)と土屋氏(ジェトロ撮影)

事務所開設の背景には、ホセ・リカルド・ガジャルド・カルドナ州知事の強い意向があるという。ゴンザレス代表は「第1の目的は、サンルイスポトシ州の認知度を上げることだ」と語った。その上で、進出を検討する各企業のニーズに基づいた情報提供を行うとともに、州政府との橋渡し役を担うことを目指す。土屋氏は「日本に拠点を持つことで、言語や時差の壁がないかたちでコミュニケーションができる。企業にとっても情報収集が容易になるはずだ」と、事務所開設の意義を強調した。投資誘致のほかにも、日本市場への輸出や観光プロモーションなども視野に入れるという。

サンルイスポトシ州の投資先としての魅力について、ゴンザレス代表は電気・水の供給が安定していることや、米国や主要港へのアクセスなどを挙げた。さらに、同氏は、同州が主要完成車メーカー(OEM)などの自動車関連企業が集積する中央高原バヒオ地域に位置していることが大きな強みと強調した。サンルイスポトシ州に進出する企業は自社の顧客やサプライヤーが近隣に存在するという利点を享受できる。ゴンザレス代表によると、「バヒオ地域の自動車サプライチェーンは未完成で、自動車部品メーカーにとってビジネスチャンスがある」という。

米国による追加関税措置の影響などから、メキシコへの投資を控える日本企業も多い中で、「投資が再度活発化する時を見据え、今からサンルイスポトシ州の情報を日本企業に発信しておくことは、投資先として選ばれる上で大きなアドバンテージになる」とした。今後はセミナー開催や各メディアへの露出を通して、情報発信を強化していく計画だ。

(注)メキシコ経済省外国投資局(DGIE)によると、2024年の日本からサンルイスポトシ州への直接投資額(国際収支ベース、フロー)は2億440万ドルで、メキシコで5番目に多い。

(加藤遥平)

(メキシコ、日本)

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